久武雅夫

久武雅夫について

久武雅夫（ひさたけ まさお、1903年9月24日 - 2003年10月8日）は、日本の著名な経済学者です。特に数理経済学を専門とし、その分野において多大な貢献をしました。彼の業績は、学術界だけでなく、教育界にも大きな影響を与えています。

生涯と業績

高知県に生まれた久武雅夫は、東京商科大学（現在の一橋大学）を卒業後、同大学で教鞭を執り始めました。その後、一橋大学教授に就任し、数多くの学生を育成しました。1951年には、佐藤信吉らと共に商業数学研究会（後の日本経営数学会）を設立し、経営学における数理的アプローチの普及に尽力しました。1958年には、学位論文「価格理論の基礎」により経済学博士の学位を取得しました。この論文は、彼の数理経済学における深い知識と分析能力を示すものでした。

1965年に一橋大学を定年退官し、名誉教授となりました。その後も、1967年から1969年まで国際基督教大学の学長を務め、教育者としての手腕を発揮しました。さらに、駒澤大学教授としても教鞭を執り、1981年に定年を迎えました。久武雅夫は、日本数理経済学会の会長も務め、日本の経済学界の発展に大きく貢献しました。

2003年10月8日、急性呼吸不全のため、川崎市内の病院で100歳で亡くなりました。彼の指導を受けた学生の中には、藤田忠（元国際基督教大学教授）のような著名な研究者もいます。

主要な著作

久武雅夫は、数多くの著書を執筆しており、その内容は数理経済学、会計学、経営学など多岐にわたります。以下に主な著書を挙げます。

単著
『数理経済学序説』（1947年）
『会計数理 資産評価の数理とその応用』（1949年）
『経済学研究者のための数学入門』（1949年）
『ワルラス「純粋経済学」』（1949年）
『商業数学』（1951年）
『商業計算提要』（1951年）
『数理経済学』（1951年）
『会計の数学』（1952年）
『数理経済学原理』（1955年）
『経営数学入門』（1963年）
『価格理論の基礎』（1964年）
『経営のための基礎数学』（1976年）
共著
『商業算術提要』（1934年、伊藤正一と共著）
『高等商業算術提要 上巻』（1939年、伊藤正一と共著）
『企業計算の理論及方法』（1943年、山田勇と共著）
『基本商業経済』（1954年、深見義一、久保村隆祐と共著）
『価格理論』（1955年、巽博一と共著）
『経営計算ハンドブック』（1955年、伊大知良太郎、古川栄一と共編）
『近代経済学基本用語辞典』（1956年、小泉明と共編著）
『企業の数学』（1956年、加藤国一郎と共著）
『経済分析シムポジウム 第1-8』（1957年、山田雄三と共編）
『リニアー・プログラミング入門 理論と例解』（1957年、片岡信二と共著）
『経営数学 ビジネス・マセマティックス』（1960年、佐藤信吉と共編）
『商業計算』（1963年、杉原勇太郎と共著）
『近代経済学用語辞典』（1967年、小泉明、長沢惟恭と共編著）
『経営数学小辞典』（1970年、佐藤信吉と共編著）
翻訳
『価値と価格の理論の数学的研究』（1933年、アーヴィング・フィッシャー著）
* 『純粋経済学要論 社会的富の理論』（1983年、レオン・ワルラス著）

これらの著書は、数理経済学の基礎を築き、後進の研究者や学生に大きな影響を与えました。彼の業績は、現代の経済学においても重要な基盤となっています。

まとめ

久武雅夫は、数理経済学の分野で卓越した業績を残しただけでなく、教育者としても多くの人材を育成しました。彼の研究と教育への情熱は、今日の経済学の発展に不可欠な貢献をしたと言えるでしょう。100歳という長寿を全うし、日本の経済学界にその名を深く刻んだ偉大な学者でした。

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