久米北条郡

久米北条郡

久米北条郡（くめほくじょうぐん）は、かつて岡山県北東部（旧美作国）に存在した郡です。近世において広範な久米郡が久米北条郡と久米南条郡に分割されたことにより成立しました。それ以前には久米北郡とも称されることがありました。この郡は、明治に入って行政区画としての体制を整えましたが、最終的には1900年（明治33年）の郡制施行に伴い、久米南条郡と合併して再び久米郡となり、郡としては消滅しました。

郡域

行政区画としての久米北条郡が正式に発足した1878年（明治11年）9月29日時点の郡域は、おおよそ現在の以下の区域に該当します。

岡山市北区のうち、建部町三明寺以北の一部地域。
津山市のうち、吉井川より南側の地域のうち西部に該当する一部地域。
* 久米郡美咲町のうち、旭川より東側で、かつ打穴中、打穴西、打穴里といった地域より西側にあたる一部地域。

現在の行政区分にまたがる広範な地域を管轄していました。

歴史

久米北条郡は、江戸時代初期に、広大であった美作国の久米郡が北側と南側に分割されたことにより誕生しました。この分割により、北側を久米北条郡、南側を久米南条郡と称するようになりました。

明治維新後、郡の行政を巡る状況は大きく変化しました。

慶応2年（1866年）には、長州戦争の影響で浜田藩がこの地に移転し、美作鶴田藩が成立しました。慶応4年（1868年）には、龍野藩が預かっていた地域も鶴田藩領となります。

明治4年（1871年）の廃藩置県では、久米北条郡は鶴田県、挙母県、津山県の管轄に分かれることになりました。しかし、同年11月15日に行われた第1次府県統合により、郡全域が新たに設置された北条県の管轄となりました。

明治5年（1872年）には、郡内の村の再編が進みました。久米上村、久米中村、足山村、大久保村が合併して久米川南村が成立するなど、いくつかの村が統合され、郡内の村数は60村から53村に減少しました。

明治9年（1876年）4月18日、第2次府県統合によって北条県が岡山県に編入され、久米北条郡全域が岡山県の管轄となりました。この年にも村の合併が行われ、上打穴中村と上打穴上村が合併して打穴上村となり、郡内の村数は52村となりました。

明治11年（1878年）9月29日、郡区町村編制法が岡山県で施行され、行政区画としての久米北条郡が正式に発足しました。郡役所は桑下村に置かれました。

明治14年（1881年）には、里公文下村と里公文中村が合併して里公文村が成立し、郡内の村数は51村となりました。

明治22年（1889年）6月1日、町村制が施行され、郡内の村がさらに統合・再編されて13の村が発足しました。これらの村は、現在の岡山市、津山市、久米郡美咲町の一部地域にあたります。


そして、明治33年（1900年）4月1日、郡制の施行により、久米北条郡はその歴史を終えました。この時、久米南条郡と合併して新たな久米郡が発足し、久米北条郡という名称は消滅しました。

久米北条郡は、近世の郡分割から明治期の行政再編を経て、現在の岡山県北東部の基礎を形成する上で重要な役割を果たした地域でした。

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