乙女ゲーム

乙女ゲームの世界：少女漫画的恋愛ゲームの進化と市場拡大

乙女ゲームとは、女性プレイヤーが主人公となり、恋愛を楽しむゲームの総称です。略して「乙女ゲー」「乙女ゲ」「乙ゲー」などと呼ばれ、男性向け恋愛ゲームである美少女ゲーム（ギャルゲー）と対照的な存在として認識されています。

歴史と進化：黎明期から社会現象へ

乙女ゲームの歴史は、1994年にコーエー（現コーエーテクモゲームス）から発売された『アンジェリーク』に始まります。しかし、初期は『アルバレアの乙女』など、いくつかの作品が発売されたものの、大きなブームには繋がりませんでした。

転機となったのは、2002年にコナミから発売された『ときめきメモリアル Girl's Side』です。この作品は、それまで乙女ゲームに触れたことがなかった層にも広く受け入れられ、市場の拡大に大きく貢献しました。この頃から「乙女ゲーム」という名称が一般的に認知され始め、メディアでも頻繁に取り上げられるようになりました。

2000年代半ば以降は、多くの企業が乙女ゲーム市場に参入。ディースリー・パブリッシャーは2ヶ月に1本のペースで新作をリリースするなど、活況を呈しました。カプコンの『フルハウスキス』や、コーエーテクモゲームスの『遙かなる時空の中で』シリーズ、『薄桜鬼』など、数々のヒット作が誕生し、市場はさらに拡大していきます。

近年では、スマートフォンアプリ市場への進出や、アニメ化・舞台化といったメディアミックス展開も盛んになり、乙女ゲームは単なるゲームの枠を超えた、社会現象へと発展しています。

主な特徴：少女漫画的要素と多様な展開

多くの乙女ゲームは、少女漫画的な要素を取り入れています。主人公の年齢は15歳から18歳前後に設定されることが多く、美しい男性キャラクターとの恋愛模様が中心となっています。しかし、近年は成人女性を主人公とした作品や、職業設定に幅を持たせた作品も増加しています。

また、ゲームシステムも多様化しています。従来のアドベンチャーゲーム形式に加え、恋愛シミュレーション、リズムゲーム、育成シミュレーションなど、様々な要素を取り入れた作品が登場しています。

市場規模とジャンル分類

矢野経済研究所の調査（2012年）によると、乙女ゲーム市場は約146億円規模に達していました。一方、主人公と恋愛対象が共に男性であるボーイズラブゲームとは明確に区別されています。

乙女ゲームは、一般向けの作品に加え、18禁のアダルトゲームも存在します。プラットフォームもPC、家庭用ゲーム機、スマートフォンと多岐に渡り、プレイヤー層も幅広くなっています。

まとめ：進化を続ける乙女ゲーム市場

乙女ゲームは、初期から現在に至るまで、常に進化と多様化を続けてきました。少女漫画的な恋愛要素をベースに、様々なゲームシステムやメディアミックス展開を取り入れることで、幅広い層の女性プレイヤーを獲得し、一大市場を築き上げています。今後も、更なる進化と発展が期待されるジャンルと言えるでしょう。

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