乙巳の変

乙巳の変（いっしのへん）とその影響

乙巳の変は、645年に発生した飛鳥時代の重大な政変であり、蘇我入鹿の暗殺を契機に日本の政治体制の根本的な改革が行われることとなりました。中大兄皇子（後の天智天皇）や中臣鎌足らによって実行されたこの変革は、日本の律令制導入の第一歩とされ、後の大化の改新につながっています。

政治背景

乙巳の変の前、日本の朝廷は蘇我氏の勢力に制約されていました。聖徳太子の死後、蘇我氏は権力を急速に拡大し、時の天皇を凌ぐほどの影響力を持っていました。このような状況の中で、中大兄皇子らは蘇我氏の専横を阻止するために協力し合うことになります。特に、蘇我入鹿が中大兄皇子やその支持者たちに対する猜疑心を持っていたため、状況はさらに緊迫していました。

蘇我入鹿の暗殺

650年の初頭、暗殺計画は本格化します。中大兄皇子と中臣鎌足は、機会を伺いながら暗殺を計画しました。645年6月12日、三韓の使者が朝廷に来る際を狙い、入鹿が神殿に出仕することを利用しての決行となりました。この日は、皇極天皇も出席していたため、事件が起こると朝廷全体が緊張に包まれました。

暗殺が実行されると、最初は入鹿を斬る役目を任された者が恐れて進み出ない姿や、中大兄皇子自らが入鹿を挑発する場面が史書に記されています。結局、入鹿は斬殺され、その死が引き金となり、長年にわたって続いた蘇我氏の権勢を崩壊させることになります。

改革へ向けた動き

入鹿の死後、蘇我氏の勢力は急速に失われ、中大兄皇子は新たな政権を樹立しました。その時、彼は大化の改新と呼ばれる大規模な政治改革を推進します。これにより、ドイツや中国モデルの影響を受けた律令制度が導入され、国の統治が一段と整備されていきます。

歴史の再評価

しかし、乙巳の変については、その後の歴史的解釈が大きく変化しています。1967年に発見された木簡は、『日本書紀』に記された内容が後に編纂されたものであることを示唆し、次第にその真実性が疑問視されるようになりました。これにより、以前の理解とは異なる見解がなされるようになっています。

影響と意義

乙巳の変は、日本の歴史において極めて重要な出来事であり、後の政治体制を決定づける一因となったことは誰もが認めるべきです。また、同時にこの事件は、権力の集中や交代が持つリスクや、その影響力についても教訓として残っています。今後も日本の歴史を理解する上で、乙巳の変の重要性は語り継がれていくことでしょう。

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