九一式飛行艇

九一式飛行艇 (H4H)

九一式飛行艇は、日本海軍が1930年代に輸送や沿岸哨戒任務のために運用した双発の中型飛行艇です。この機体は広海軍工廠にて設計・製造され、略符号は「H4H」として知られています。

開発背景

広海軍工廠は、旧型の一五式飛行艇および八九式飛行艇を代替する新型機の開発に着手しました。1931年に岡村純造兵少佐を設計主務者として、高翼単葉形式の双発飛行艇の設計が始まりました。1932年に試作機が完成し、その後、様々な仕様の飛行艇が開発されました。最終的に広廠によって制式採用されたのは、「九一式二型」水冷W型エンジンを搭載した機体であり、これは九一式一号飛行艇（H4H1）として知られています。川西航空機での生産が開始され、1933年から実際の運用が始まりました。

主な仕様と改良

その後、九一式飛行艇は設計にいくつかの改良を受けました。その中には、尾翼のデザイン変更や、エンジンを空冷星型に変更することが含まれています。具体的には、プラット・アンド・ホイットニーのR-1690を三菱がライセンス生産した「明星」エンジンに換装され、出力が向上した九一式二号飛行艇（H4H2）が開発されました。また、三菱が製造したイスパノ・スイザ製の650 hpエンジンや中島製の460 hpエンジン「寿」を搭載した機体も試作されました。

H4H1およびH4H2を含む計47機が製造され、日中戦争などの様々な作戦において、戦線や後方での輸送や哨戒任務に幅広く使用されました。しかし、技術の進展とともにこの飛行艇は古くなり、1937年には製造が終了しました。

主要仕様（H4H2）

• - 全長: 16.57 m
• - 翼幅: 23.46 m
• - 全高: 6.22 m
• - 翼面積: 82.70 m²
• - 自重: 4,663 kg
• - 全備重量: 7,500 kg
• - エンジン: 三菱明星一型/二型空冷星型9気筒（離昇800 hp） × 2
• - 最大速度: 233 km/h
• - 航続距離: 1260 km
• - 実用上昇限度: 3,620 m
• - 武装: 7.7mm旋回機銃 × 3、250kg爆弾 × 2
• - 乗員: 6 - 8名

まとめ

九一式飛行艇はその設計と運用において、日本海軍の重要な資産でした。輸送、哨戒といった任務において、重要な役割を果たし、日本の航空機技術の発展にも寄与した飛行艇です。

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