一五式飛行艇

一五式飛行艇 (H1H) について

一五式飛行艇（H1H）は1920年代に大日本帝国海軍で運用された、日本人設計による初の飛行艇です。この飛行艇は、その優れた設計と性能から日本の航空技術の重要な一歩とされています。

概要

1926年、大日本帝国海軍は当時使用していたF-5号飛行艇の陳腐化を受け、新たな飛行艇の開発を広海軍工廠に依頼しました。このプロジェクトは、後に川西航空機で活躍する橋口義男造船大尉によって主導されました。一五式飛行艇はF-5号のデザインを基にしつつ、いくつかの重要な改良が施されています。特に、主翼の面積を減らし、厚翼とすることで剛性を高め、その結果として速度向上が図られました。

また、この飛行艇は新しいデザインとして、翼間支柱を一張間のみにしました。この構造は、後の八九式飛行艇の設計にも引き継がれました。エンジンには、ロレーヌ 12Eのライセンス生産権を持つ中島飛行機が製造する「ローレン450馬力発動機」が採用されました。

初号機は1927年の秋に完成し、操縦性と安定性の良さから一五式飛行艇として制式採用されました。以降、広海軍工廠や愛知航空機でも生産が行われ、試作として全金属製のものも横須賀工廠で開発されました。生産は1934年まで続き、65機以上が完成しました。これらの飛行艇は、特に支那事変の際には実用的な練習機として活躍しました。

派生型

一五式飛行艇にはいくつかの派生型が存在します。
1. 一五式一号飛行艇 (H1H): ローレン450馬力の水冷W型12気筒発動機を二基搭載し、二翅プロペラを使用。
2. 一五式一号改一飛行艇 (H1H2): 二基のローレン450馬力発動機を搭載し、艇体を全金属化した版本。
3. 一五式二号飛行艇 (H1H3): 二基のローレン450馬力発動機に加え、四翅プロペラを装備し、さらに性能向上が図られました。

性能

一五式飛行艇の主な性能は以下の通りです。

• - 乗員: 5名
• - 全長: 15.11 m
• - 翼幅: 22.98 m
• - 全高: 5.19 m
• - 翼面積: 125.00 m²
• - 自重: 4,020 kg
• - 全備重量: 6,100 kg
• - エンジン: ローレン450馬力水冷W型発動機 x 2
• - 最大速度: 170 km/h
• - 航続距離: 約14.5時間
• - 上昇時間: 3,000 mまで約33分50秒
• - 武装: 7.7 mm旋回機銃 x 2、爆弾搭載可能重量300 kg

参考文献

本記事の情報は、安東亜音人著『帝国陸海軍軍用機ガイド 1910-1945』（新紀元社、1994年）を参照しました。

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