九七式五糎七戦車砲

九七式五糎七戦車砲について

概要

九七式五糎七戦車砲（97式5センチ7戦車砲）は、大日本帝国陸軍によって1937年に設計された口径57mmの戦車砲です。この砲は、八九式中戦車に搭載されていた九〇式五糎七戦車砲の後継として開発され、機能や耐久性の向上を目指しました。1936年9月に設計が始まり、1937年3月には試製砲が完成。様々な試験を経て、同年12月に仮制式として採用されました。

主な特徴

本砲は以下の主要な性能を持っています。

• - 口径：57mm
• - 弾薬の重量：2.58kg
• - 初速：349.3m/s
• - 最大射程：6000m
• - 高低射界：-15度～+20度
• - 方向射界：左右各10度

これに加え、砲身の後座長は250mm、砲身の重量は約80kg、全備重量は160kgです。これらの項目は、九〇式五糎七戦車砲からの改良を反映しています。

開発と試験

1936年に設計開始後、試製砲が1937年3月に完成し、同年の様々な試験で性能が確認されました。特に、富士裾野や大津川射場での射撃試験では、機能の良好さが証明され、各種の改良が施された結果、実用に供することができると認定されました。

評価された結果としては、以下のような数値がありました。

• - 仰角20度における射程：4700m
• - 砲身重量：約75kg
• - 全備重量：150kg

これにより、九七式五糎七戦車砲は戦車搭載用の制式兵器として、実用価値が認められました。

用途と構造

九七式五糎七戦車砲は、戦車に搭載されることを前提に設計されています。砲身は単肉身管と砲尾体から成り、閉鎖機は垂直自動鎖栓式。砲身を支える揺架（砲身の後退を支える機構）は、鋼製で水圧駐退機と発条復座機を装備し、戦闘時の安全性を高めました。また、砲架は特殊鋳鋼製の箱型体で作られており、揺架と砲身をしっかりと固定しています。

弾薬

本砲で使用される弾薬は、九〇式五糎七戦車砲と共通です。主な弾薬には、九二式徹甲弾のほか、一式徹甲弾と三式穿甲榴弾がありました。榴弾の威力においても、当時の日本陸軍の他の火器と比べて注目されましたが、徹甲弾の貫通能力には改善の余地があるとされています。

生産状況

九七式五糎七戦車砲は、1942年には1,219門が製造され、1943年には216門が追加されました。このように、戦局においても重要な兵器として位置づけられていました。

最後に

九七式五糎七戦車砲は、大日本帝国陸軍の中戦車に搭載され、当時の戦車戦における重要な火力の一翼を担いました。その設計思想や性能は、今でも多くの研究に影響を与えています。

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