九七式艦上偵察機

九七式艦上偵察機の概要

九七式艦上偵察機は、1937年に日本海軍によって正式に採用された艦上偵察機で、機体の略号はC3Nです。この機体は、当初の設計指示から独自の技術的特徴を持つ三座の単葉機として開発されましたが、九七式艦上攻撃機の台頭により量産されることはありませんでした。

開発の背景

1935年、日本海軍は艦上偵察機の試作を中島飛行機と三菱重工業に依頼しました。三菱が辞退したため、中島が担当することになりました。海軍が求めた要件は、全幅14メートル、全長10メートル以下で最大速度370 km/h以上、航続距離2,200 kmというものでした。この偵察機は、後に誕生する九七式艦上攻撃機と同時期に開発が進められたため、両機の機体構造やエンジンに共通点が見られます。

特徴と技術

本機は1936年に完成した1号機で、日本海軍の艦上機として初めて密閉式風防を採用しました。また、上方折り畳み主翼やセミインテグラル・タンク、可変ピッチプロペラなど新しい技術が搭載されており、斬新な設計とされました。これらの技術は、同時期に進行中だった十試艦上攻撃機にも応用されています。

導入と運用

九七式艦上偵察機は1937年9月に正式採用され、その後、第十二航空隊に配備されました。中国大陸での任務において偵察や爆撃の役割を果たしましたが、2機のうち1機は対空射撃を受けて墜落し、もう1機も大破、破棄されました。実用性に優れた本機は、後に採用された九八式陸上偵察機やセバスキー陸上複座戦闘機よりも、使用する兵員からの評価が高かったと言われています。

生産の中止

正式に採用されたにもかかわらず、本機は戦力としての需要に応えられなかったため、量産には至りませんでした。九七式艦上攻撃機がその性能の優秀さを証明し、偵察任務を兼務することになったため、専用の偵察機の生産は見送られたという背景があります。

主な要目

• - 全長: 10.00m
• - 全幅: 13.95m
• - 自重: 1,805kg
• - 発動機: 中島「光」二型 空冷星型9気筒、出力860馬力
• - 最高速度: 387 km/h
• - 航続距離: 2,278 km
• - 武装: 7.7mm機関銃×2
• - 乗員: 3名

九七式艦上偵察機は、日本海軍における艦上偵察機の開発の一環として重要な位置を占めていますが、その運用は限られたものでした。結局のところ、海軍は艦上攻撃機や爆撃機を流用する方針を取ったため、専用の艦上偵察機の開発は続かず、最終的に彩雲まで専用機は製作されることはありませんでした。

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