九五式一型練習機

九五式一型練習機 概要

九五式一型練習機（きゅうごしきいちがたれんしゅうき）は、大日本帝国陸軍が採用した練習機の一つで、試作番号はキ9である。別名では九五式中練や「赤とんぼ」としても知られている。また、連合軍によるコードネームはスプルースだ。開発は石川島飛行機により行われ、製造は石川島（のちの立川飛行機）や日本国際航空工業が担当した。この機体は、日本陸軍の教育機として非常に多くの人数に使われ、陸軍飛行学校での練習に広く浸透した。

開発の背景

1934年4月、陸軍は石川島飛行機に対し、初歩練習機と中間練習機の役割を兼ねられるような「階梯機」を開発するよう指示した。このような多用途機の開発は他に例がなかったため、困難が予想された。が、石川島は短期間で試作1号機を完成させた。初歩練習機型は中島NZエンジン（150馬力）を搭載し、さらに試作2号機と3号機はハ13エンジンを搭載した中間練習機型だった。

審査と採用

陸軍による試験は1935年から行われた。初歩練習機型はエンジンの出力が不足しており、飛行性能に問題があったため不合格となった。しかし、試作3号機の中間練習機型は、操縦性と安定性が良好だったことから採用が決定し、1935年7月に九五式一型練習機として正式に採用された。

生産と改修

1935年から開始された生産の過程で、機体の装備の簡略化やエンジン取り付け位置の変更が行われ、これにより九五式一型練習機乙型（キ9乙）が生まれた。生産機の大部分は改修型であり、立川飛行機では2300機以上が製造された。

この機体は「赤とんぼ」の愛称で親しまれ、軍の飛行学校だけでなく、民間でも多く使用された。特に、軍部の練習機の塗装であるオレンジ色が印象的だった。太平洋戦争の進展に伴い、性能の向上を求められるようになり、九五式三型練習機に取って代わられつつも、初歩練習機としての役割を果たした。

戦後の利用

戦後においても九五式一型練習機は、他国による使用が続けられた。特に中華民国空軍や、朝鮮人民軍空軍などでも利用され、朝鮮戦争では一部の機体が爆撃機としても使用された。這までも日本国内外問わず、様々な教育用機としての役割を果たした。

連絡機とレプリカ機

九五式一型練習機はその後、連絡機へと改良された「立川式小型連絡機」としても知られており、1936年には「愛国号」として陸軍に献納された。また、2014年には「赤トンボ復元プロジェクト」として、飛行可能なレプリカ機「AKT95」の製作が始まり、設計図がない中で当時の資料をもとに復元が試みられている。

スペック（乙型）

• - 全長：7.53m
• - 全幅：10.32m
• - 全高：3.00m
• - 主翼面積：24.5m²
• - 自重：900kg
• - 全備重量：1,400kg
• - エンジン：日立ハ13 空冷9気筒エンジン 350HP
• - 最大速度：240 km/h
• - 巡航速度：180 km/h
• - 航続時間：3.5時間
• - 実用上昇限度：6,000m
• - 乗員：2名

このように九五式一型練習機は日本陸軍の航空教育の重要な一翼を担った機体に過ぎず、その役割は歴史的にも重要で評価されている。

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