九六式水上偵察機

九六式水上偵察機について

九六式水上偵察機（きゅうろくしき すいじょう ていさつき）は、1936年に日本海軍に制式採用された飛行艇であり、その略符号は「E10A1」です。連合軍のコードネームは「Hank」で、昭和11年に始まるその運用は、主に夜間偵察や着弾観測など特定の任務に特化しています。

開発の背景

1931年、日本海軍は艦隊戦闘における夜間偵察や連絡の必要性を認識しました。このため、愛知航空機と川西航空機に対し、長時間の低速飛行が可能な偵察機の開発を委託しました。1934年には「九試夜間水上偵察機」の試作に着手し、愛知航空機は複葉式飛行艇の設計を行いました。その結果、1941年12月に初号機が完成し、さらなる比較審査を経て1936年に九六式水上偵察機として制式採用に至ったのです。

一方で、川西航空機が試作した機体は不採用となり、九四式輸送機へと転用されました。この競争において九六式が選ばれたのは、性能の向上からでした。

機体の特徴

九六式水上偵察機は、その主翼を含む機体設計が古いものであったため、制式採用からわずか2ヵ月後には後継機の開発が始まりました。そのため、同機の生産は1937年に打ち切られ、わずか15機のみが生産されたのです。この生産数は、特殊任務という性格上の需要の少なさも影響しています。

また、九六式は火力として7.7mmの機銃を備え、最大速度は206km/h、航続距離は1,852kmを誇ります。乗員は3名で、主に水雷戦隊の軽巡洋艦に搭載されました。

実戦とその後

九六式水上偵察機は戦闘の初期段階で重要な役割を果たしましたが、支那事変の末期に九八式水上[[偵察機]]が就役することによって、実戦部隊からは退役しました。その後、機体の改造が行われ、輸送機としての運用が開始されました。この改造後は九六式輸送機として知られるようになりましたが、公式文書では「九六式水上偵察機を輸送機に改造せるもの」としているため、混乱が生じています。

スペック

• - 全長：11.21m
• - 全幅：15.50m
• - 全高：4.50m
• - 主翼面積：46.4m²
• - 全装備重量：3,300kg
• - 最高速度：206km/h
• - 乗員：3名
• - 発動機：愛知九一式水冷W型12気筒（650hp）
• - 航続距離：1,852km（14.3h）
• - 武装：7.7mm 機銃×1（艇首旋回）

関連情報

この機体に関する情報として、偵察機や哨戒機の一覧との関連が挙げられます。九六式水上偵察機は歴史的な背景や特殊な運用からみても、航空機史において重要な存在となりました。

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