九八式水上偵察機

九八式水上偵察機の概要

九八式水上偵察機（きゅうはちしき すいじょう ていさつき）は、日本海軍によって開発された艦載飛行機で、昭和13年（1938年）6月に公式に採用されました。この機体は、愛知航空機が設計した飛行艇型の偵察機で、連合軍においては「Laura」というコードネームが付けられました。

開発の背景

九八式水上偵察機は、その開発にあたり、過去の九六式水上偵察機の後継モデルとして位置づけられました。昭和11年（1936年）10月、日本海軍は新たな機体の製造を川西航空機と愛知航空機に依頼します。川西は大胆で革新的なデザインを提案したのに対し、愛知は前作を改良した選択肢を選びました。愛知の方は、従来の複葉機を基にした小型の水上飛行艇を開発しました。

この機体の主な特徴は、モノコック構造の金属製胴体にあり、主翼と尾翼も金属製の骨組みに布を張った構造で作られています。エンジンは上翼中央に配置され、4枚羽根の木製プロペラが装備されています。

制式採用と運用

昭和12年（1937年）6月には、試作1号機が完成し、その後、海軍による試験が行われました。その結果、保守的な設計が評価され、九八式水上偵察機は昭和13年に正式に制式採用されました。

この機体は、支那事変（日中戦争）後期から軽巡洋艦に搭載され、主に偵察や索敵、哨戒活動に使用されました。太平洋戦争が始まると、少数の九八式が戦闘に参加しましたが、後に3座水偵に役割を譲って一線を退きました。以降は、連絡機や雑用機として運用され、終戦時にはわずか7機が残存していました。

スペック

九八式水上偵察機のスペックは以下の通りです:

• - 全長: 10.71 m
• - 全幅: 14.49 m
• - 全高: 4.52 m
• - 主翼面積: 46.4 m²
• - 全装備重量: 3,300 kg
• - 最高速度: 217 km/h
• - 巡航速度: 130 km/h（高度1,000 m）
• - 乗員: 3名
• - 発動機: 愛知九一式二二型水冷W型12気筒620 HP
• - 航続距離: 1,945 km / 15 h
• - 武装: 7.7 mm機銃×1

文化的影響

九八式水上偵察機は、ゲーム『艦隊これくしょん -艦これ-』にも登場しており、艦娘の装備として実装されています。この機体は、特に夜間戦闘において強力な効果を持ち、機体を装備した艦娘が編成されることで、味方艦隊の攻撃命中率や特殊攻撃の発動率が向上するとされています。

関連項目

• - 偵察機・哨戒機の一覧
• - 近似の性能の艦載飛行艇:

- スーパーマリン ウォーラス
- ロワール 130
- ベリエフ Be-4

このように、九八式水上偵察機は日本海軍の偵察作戦において重要な役割を果たし、現在もその歴史的意義を持つ機体として評価されています。

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