岩屋城

岩屋城とは



岩屋城は、福岡県太宰府市浦城に位置する山城です。その歴史は戦国時代に遡り、特に天正14年(1586年)の島津軍と大友軍との間で行われた岩屋城の戦いは、戦国史における重要な出来事として知られています。

歴史


築城は天文年間(1532年 - 1554年)に大友氏の武将である高橋鑑種によって行われたとされています。当初、岩屋城は立花城とともに大友氏による筑前支配の拠点としての役割を担っていました。しかし、高橋鑑種が主君である大友宗麟の振る舞いに反発し、城を離れることになります。その後、大友家の重臣である吉弘鑑理の次男、高橋鎮種が城主となりました。

天正13年(1585年)には、立花道雪の死去に伴い、その長男である立花統虎が立花城主を継ぎ、次男の統増が高橋家の本拠である宝満城に入城しました。これにより、大友家は一族で筑前の防衛を固めることとなりました。

しかし、天正14年(1586年)7月13日、島津氏が総勢2万の大軍を率いて筑前に侵攻し、大宰府政庁跡の隣にある観世音寺に陣を構えました。岩屋城には、高橋鎮種が出家後、紹運と名乗った人物が700余名の兵と共に籠城し、島津軍を迎え撃ちました。

紹運率いる守備隊は、約2週間にわたり島津軍の猛攻に耐えましたが、各出城や砦が次々と陥落していきました。虚空蔵砦を守備していた福田民部少輔も討ち死にするなど、戦況は厳しくなっていきました。紹運自身も薙刀を手に戦いましたが、最終的には力尽き、敵に降伏を求めた後、高櫓に登って自害しました。残された将兵も紹運の後を追い、全員が玉砕し、7月27日に岩屋城は落城しました。

紹運が残した辞世の句は「屍をば岩屋の苔に埋みてぞ 雲居の空に名をとどむべき」と伝えられています。城跡から少し離れた場所には、高橋紹運の墓があります。

城の構造


岩屋城は、四王寺山の中腹、標高291メートルの場所に位置しています。城の構造は、山城特有の地形を利用しており、現在でも堀切や土塁の遺構が残っています。これらの遺構は、当時の戦いの様子を今に伝えています。

まとめ


岩屋城は、戦国時代の激しい戦いの舞台となった場所であり、高橋紹運とその家臣たちの壮絶な戦いは、今もなお語り継がれています。城跡を訪れることで、当時の歴史と人々の息吹を感じることができるでしょう。

参考文献

『福岡県の歴史散歩』山川出版社、1984年
太宰府市 編『太宰府市史』
森 弘子『太宰府発見』海鳥社、2003年、ISBN 4-87415-422-0
筑紫豊『だいふまいり』西日本新聞社、1976年
浦辺登『太宰府天満宮の定遠館』弦書房、2009年、ISBN 978-4-86329-026-6
三村講介「大内氏の筑前国御笠郡代・岩屋城督 ─千手興国を中心に─」太宰府市市史資料室編集『年報太宰府学』第6号、太宰府市、2012年3月31日、pp.42-48

関連項目

日本の城一覧
岩屋城の戦い

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