九条の大罪

『九条の大罪』

真鍋昌平による漫画作品で、『ビッグコミックスピリッツ』（小学館）にて2020年46号から連載されています。2024年10月時点で、累計発行部数は333万部を突破しており、多くの読者を魅了しています。

作品概要

本作は、半グレやヤクザ、前科持ちといった、一般的には敬遠されがちな人々を顧客とする弁護士・九条間人を主人公に、法律と道徳の境界線上で依頼人のために奔走する姿を描いています。作者の真鍋昌平は、代表作『闇金ウシジマくん』の連載中に、闇金業者側の視点での物語展開に限界を感じ、取材の中でよく耳にした弁護士という存在に興味を持ったそうです。約50人の弁護士への取材を経て、「人間が抱える葛藤や心の揺れ動きを描きたい」という思いに至り、本作の執筆を開始しました。作品のリアリティを追求するため、足かけ5年にわたり司法に関する取材を重ねています。

沿革

• - 2020年10月：『ビッグコミックスピリッツ』46号より連載開始。第1話では、飲酒運転で親子をひき逃げした半グレが執行猶予を勝ち取るという衝撃的な展開がSNSで話題を呼びました。
• - 2021年2月：単行本第1巻発売。弁護士の弘中惇一郎氏から推薦コメントが寄せられました。
• - 2021年5月：第2巻発売。映画監督の西川美和氏、はあちゅう氏、テレビディレクターの上出遼平氏、そして弘中惇一郎氏が推薦コメントを寄せています。
• - 2021年12月：第4巻に登場する「ぴえん系女子」のキャラクター、しずくが佐々木チワワ氏の書籍の表紙に採用されました。
• - 2022年1月：「全国書店員が選んだおすすめコミック 2022」で第10位を獲得しました。

あらすじ

主人公の弁護士・九条間人が主な顧客とするのは、半グレ、ヤクザ、前科持ちといった、いわゆる「訳あり」の人々です。インターネット上では「悪徳弁護士」と非難され、離婚した妻への養育費の支払いにも苦労しながら、九条は居候弁護士の烏丸と共に、依頼人のために尽力します。

登場人物

登場人物の名字は、京都の地名に由来するものが多くあります。

主要人物

• - 九条 間人（くじょう たいざ）

- 依頼人を善悪で判断しない弁護士。生活環境の悪い事務所の屋上でテント生活をしています。バツイチで元妻に財産を分与したため、経済的に余裕がない。インターネット上では悪徳弁護士と批判されていますが、本人は意に介していません。本名は鞍馬間人。

• - 烏丸 真司（からすま しんじ）

- 九条の事務所で働く居候弁護士。東京大学法学部を首席で卒業後、大手法律事務所に所属していました。

• - 山城 祐蔵（やましろ ゆうぞう）

- 九条が独立前に所属していた事務所のボス弁。九条にとって恩師のような存在ですが、後に悪徳介護施設の顧問弁護士として法廷で対決することになります。

• - 壬生 憲剛（みぶ けんご）

- 表向きは自動車整備工場の経営者。裏では半グレのリーダーで、複数の飲食店を経営しています。後輩の事件処理を九条に依頼し、その能力を高く評価しています。

• - 鞍馬 蔵人（くらま くらと）

- 東京地検の検事で、九条の兄。エリートコースを歩んでいますが、反社会勢力と関わる弟を「弁慶の泣き所」と考えています。

主なエピソードの登場人物

• - 片足の値段（1話）

- 森田：壬生の後輩で、飲酒運転で親子をはねてしまった依頼人。

• - 弱者の一分（2話）

- 曽我部 聡太：麻薬の運び屋。
- 金本：麻薬の販売人。

• - 家族の距離（3話）

- 家守 華恵：コンサル会社社長。父親の遺産を巡り訴訟を起こします。
- 菅原 遼馬：介護施設「輝興儀」の代表。詐欺と強盗を本業としています。
- 久我：菅原の兄弟分。壬生の部下。

• - 自殺の理由（4話）

- 植田 篤彦：自宅で自殺した人物。
- 有馬：烏丸の同期。

• - 強者の道理（5話）

- 京極 清志：伏見組の若頭。壬生の上司。
- 佐久間：京極に暴行された人物。

• - 消費の産物（6話）

- 笠置 雫：ホストを殺害した依頼人。
- 中谷 修斗：被害者のホスト。
- 亀岡 麗子：女性弁護士で、九条の同期。
- 小山：京極のケツモチ。
- 粟生：AV監督。
- 外畠：雫の母親の彼氏。

• - 事件の真相（7話）

- 嵐山信子：過去に犬飼達に殺害された人物。
- 犬飼勇人：嵐山信子殺しの主犯。
- 又林：嵐山の部下。
- 深見：嵐山の部下。
- 笠原美穂：信子の元友人。

• - 愚者の偶像（8話）

- 門脇 数馬：俳優志望。
- 音羽 千歌：歌手志望。
- 山梨 新一：整形外科医。
- モモヨ：AV女優。
- 門脇 数恵：数馬の妹。

• - 至高の検事（9話）

- 宇治 信直：検事部長。鞍馬の上司。
- 小野：鞍馬の同僚だったが弁護士に。
- 京極 猛：京極の息子。
- 市田 朝子：毎朝新聞の編集部員。
- 雁金 正美：伏見組の若頭補佐。
- 艮 克茂：破門された元ヤクザ。
- 鞍馬 行定：九条と鞍馬の父。故人。
- 九条 莉奈：九条の娘。5歳。

• - 生命の値段（10話）

- 相楽 弘毅：ヤメ検の弁護士。
- 朝倉 優子：相楽の部下。
- 白栖 雅之：白栖総合病院の院長。
- 白栖 正孝：雅之の長男。
- 平川 幸孝：雅之の次男。
- 白栖 早苗：正孝の妻。
- 平川 恵理子：幸孝の妻。
- 山根：正孝の同級生の医者。
- 射場 雅弘：白栖総合病院の事務局長。壬生と繋がりがある。
- 有馬 剛：事件屋。

書誌情報

• - 真鍋昌平『九条の大罪』 小学館〈ビッグコミックス〉、既刊12巻（2024年7月30日現在）

- 2021年2月26日発売、ISBN 978-4-09-860848-5
- 2021年5月28日発売、ISBN 978-4-09-861044-0
- 2021年8月30日発売、ISBN 978-4-09-861125-6
- 2021年11月30日発売、ISBN 978-4-09-861184-3
- 2022年3月30日発売、ISBN 978-4-09-861262-8
- 2022年7月29日発売、ISBN 978-4-09-861383-0
- 2022年11月30日発売、ISBN 978-4-09-861471-4
- 2023年3月30日発売、ISBN 978-4-09-861603-9
- 2023年9月28日発売、ISBN 978-4-09-862521-5
- 2023年12月27日発売、ISBN 978-4-09-862609-0
- 2024年2月29日発売、ISBN 978-4-09-862680-9
- 2024年7月30日発売、ISBN 978-4-09-863004-2

外部リンク

• - ビッグコミックスピリッツ 九条の大罪

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