九頭竜川鳴鹿大堰

九頭竜川鳴鹿大堰について

九頭竜川鳴鹿大堰（くずりゅうがわなるかおおぜき）は、福井県坂井市丸岡町と吉田郡永平寺町の境界に位置する、九頭竜川の中流に建設された堰です。この堰は、福井平野のかんがいを主な目的として設計されており、老朽化した旧堰を改良する形で新たに可動堰として再構築されています。国土交通省近畿地方整備局がその管理を行っており、地域における水資源の効率的な利用が期待されています。

歴史的背景

鳴鹿地点は、古代より農業用水の供給源として重要視されてきました。保元年間（1156年〜1159年）には、越前国惣追捕使である藤原国貞によって十郷用水が開削され、さらにそれを受けて朝倉孝景や柴田勝家がこの用水の運用規定を整えました。これにより、九頭竜川右岸での灌漑が保証されていきました。

一方、左岸では江戸時代の初代越前藩主・結城秀康の重臣、本多富正によって芝原用水が開削され、これが灌漑に加えて上水道や福井城の防衛を目的とした濠用水としても利用されるようになりました。このような背景を持つ鳴鹿堰は、農業用水の要所として重要な役割を担っています。

鳴鹿堰の改良と再整備

戦後の1947年には、農林省が大井川、野洲川、加古川とともに「国営農業水利事業」を展開し、九頭竜川もその一環として国営九頭竜川農業水利事業が開始されました。この事業は、鳴鹿堰を固定堰と可動堰の複合型にするもので、1955年には新しい鳴鹿頭首工が完成しました。この頭首工は、十郷用水と芝原用水の新たな水源としても活用されました。

1964年からは「第二次国営九頭竜川農業水利事業」が始まり、固定堰部分が可動堰へと改良されていきました。それに伴い、1978年からは農業用水の合理化を進める一方で、福井市への上水道供給が開始されました。

老朽化と改良事業

しかし、長い年月が経過した後、鳴鹿頭首工は老朽化が進み、改訂された「河川管理施設等構造令」に適合しなくなったため、水資源管理において様々な問題が生じていました。また、福井市や大野市の水需要が高まり、地下水の汲み上げ過多で水量の減少も見られるようになり、河川の総合的な施設の新設が急務となりました。

これを受けて、1989年から改良事業が計画されました。この事業では、旧頭首工の直下流に新たな可動堰を建設し、灌漑や福井市への上水道供給に加え、洪水調節や河川維持用水の供給、大野市への上水道供給も行うことを目的としています。

1992年には本格的な建設が開始され、2003年に新たな堰が完成しました。この堰には、魚道が設けられ、魚類の遡上を助ける工夫も施されています。

現在の管理

現在、鳴鹿大堰は環境改善を図るための施設として機能しており、管理は国土交通省近畿地方整備局に移管されました。また、九頭竜ダムや真名川ダムと共に、九頭竜川のダム統合管理事務所のもとで管理されており、福井河川国道事務所が運用を担当しています。これは地域の水資源を持続可能に活用するための重要な施策であり、今後の水利の課題にも取り組みながら地域の発展に寄与していくことでしょう。

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