乾正人

乾正人氏は、1962年に兵庫県神戸市で生まれた日本のジャーナリスト、コラムニストです。産経新聞社において、長年にわたり報道の中枢を担い、最終的には論説委員長や東京本社執行役員編集局長を歴任しました。

経歴

甲陽学院高等学校を卒業後、筑波大学比較文化学類で学び、1986年4月に産経新聞社に入社します。入社後は新潟支局での勤務を皮切りに、整理部、政治部などで経験を積み、政治部長を務めるに至ります。2011年4月には編集長となり、論説委員を兼務。その後、2015年6月には編集局長に就任しました。特に、2018年6月から2022年6月までの期間は、産経新聞のオピニオン形成を主導する論説委員長として活躍しました。

人物

その人物像については、独特の自己分析を展開しています。人間には成長のピークが「経験を重ね、大人になってから」来るタイプと、「ぬくぬく育った小学生くらいがピーク」のタイプの二通りがあると捉え、自身は後者に分類されると語っています。

この考えは、彼の文学観にも影響を与えているようです。特に小学6年生の頃に読んだ内田百閒の紀行文「特別阿房列車」に強い感銘を受けたといい、それ以降、大江健三郎や村上春樹といった著名な作家の作品を読破しても、内田百閒作品に匹敵する「魂を揺さぶられる」ような感動には出会えていないと述べています。他の作品については、「まあまあうまいんだけどねえ」と感じるに留まるといった評価をしています。

また、公共政策、特に地方空港の建設に対しては、批判的な視点を持っています。静岡空港や神戸空港の建設に関して、名古屋や大阪からの距離、関西国際空港との近接性を指摘し、「今すぐ必要なのか」と疑問を投げかけました。国会議員は憲法に基づき全国民を代表する立場にあるにもかかわらず、地域エゴに走る傾向があることに対し、「国民にとってこれほど不幸なことはない」と強く批判しています。

主な著作・共著

『官邸コロナ敗戦　親中政治家が国を滅ぼす』（ビジネス社、2020年）
『令和阿房列車で行こう』（飛鳥新社、2023年8月30日）
『ジャーナリズムの情理－新聞人・青木彰の遺産』（産経新聞出版、2005年） - 産経新聞OBで筑波大学教授の青木彰に学んだ「青木塾」門下生による共著。
『日中の壁』（築地書館、2012年） - 日中国交正常化40周年にあわせ、田原総一朗や富坂聰、田勢康弘（日経新聞OB）、加藤千洋（朝日新聞OB）、藤野彰（読売新聞OB）ら政治・中国問題に詳しいジャーナリストとの共著。

主なメディア出演

テレビ

報道ランナー（関西テレビ）

ラジオ（いずれもニッポン放送）

上柳昌彦のお早うGoodDay!
高嶋ひでたけのあさラジ!
ザ・フォーカス

関連人物

熊坂隆光 - 産経新聞社代表取締役会長（政治部の先輩）
井口文彦 - 産経新聞東京本社執行役員編集局長
山本泰夫 - 産経新聞出版元社長
原田亮介 - 日本経済新聞社専務執行役員論説委員長、日本記者クラブ理事長（筑波大学比較文化学類OB）
中西寛 - 京都大学公共政策大学院院長（甲陽学院高校同級生）
久義裕 - 久金属工業社長（甲陽学院高校同級生）

関連項目として、筑波大学の人物一覧も挙げられます。

乾氏自身が執筆した論評は、産経ニュースの外部リンクから参照可能です。

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