乾正直

乾正直（いぬい まさなお）の生涯と家系

乾正直は江戸時代前期に活躍した土佐藩の上士であり、板垣流乾市郎兵衛家の初代を務めた人物です。生年不詳ですが、1688年8月21日に逝去したことが知られています。通称は市郎兵衛であり、家紋は「榧ノ内十文字」とされています。

生い立ちと家族

乾正直は、高知城下にて土佐藩の上士、乾正行（金右衛門）の二男として誕生しました。母親は毛利治郎右衛門の娘で、父から受け継いだ武士の家系に生まれ育ちました。彼の家庭環境は、武士としての教養を受けるための基盤があったと考えられます。

彼には兄として乾正祐（與惣兵衛）が存在し、弟の乾友正（源五郎）もいました。また、乾正直の妻は森正壽（勘左衛門）の娘であり、嫡男として乾正房（七郎左衛門）をもうけ、孫には乾吉勝（弥五兵衛）がいます。彼の家系は、武士階級の中でも重要な位置を占めていました。

政治活動と重要な出来事

乾正直は、1644年に土佐藩主の山内忠義により特別に召し出され、新御小性としての地位を授けられました。その際、5人扶持と共に10石の扶持を受けることになりました。これにより、彼は土佐藩内での地位を確立していきました。

1661年2月14日、洛中の前関白二條邸からの出火による大火が発生しました。この火災は、強風の影響で禁裏や仙洞御所にまで燃え広がり、190邸、寺院16宇、民家558軒の計693棟が焼失する大規模なものでした。火災の影響により、乾正直は土佐藩主からの命令で、京へ向けて出発し、御所との交渉を担当することになりました。

1665年には、土佐藩主山内豊昌の参勤に伴って江戸へ下ることが求められ、さらにその政治活動に従事しました。これらの経験は、彼の政治的見識や外交能力を高める重要な時期であったと推察されます。

晩年と死

1688年8月21日、乾正直は病により生涯を閉じました。彼の墓所は高知城下にある瑞応寺福泉院にあります。彼の死によって、家系の重要な役割は次男の乾正房へと引き継がれていきました。彼の家族や家系に関する情報は、当時の文献や所蔵品によって引き継がれています。

参考文献

• - 『御侍中先祖書系圖牒』：旧山内侯爵家が所蔵し、高知県立図書館に寄託されています。これらの資料は、乾正直やその家族に関する貴重な歴史的情報を提供しています。

関連項目

• - 乾正行
• - 乾正房
• - 乾正厚
• - 乾正士

乾正直の生涯は、土佐藩における武士のあり方や当時の政治状況を垣間見ることができる貴重な事例であり、彼の活動を通じてその歴史的背景を理解する手助けとなるでしょう。

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