亀山城 (備前国)

亀山城（沼城）：宇喜多氏勃興の地

亀山城は、現在の岡山県岡山市東区沼に位置する平山城です。別名、沼城とも呼ばれ、その歴史は戦国時代に遡ります。

歴史

天文年間、浦上宗景の家臣であった中山勝政によって築城されました。その後、永禄2年（1559年）に宇喜多直家が宗景の命により、義父である信正を謀殺し、城主となります。直家は、岡山城に移るまでの約15年間、この城を拠点として勢力を拡大しました。この地は、宇喜多氏が戦国大名として台頭する上で重要な役割を果たした場所と言えるでしょう。

天正10年（1582年）の本能寺の変後、羽柴秀吉（後の豊臣秀吉）軍が備中高松城から中国大返しを行う際、この城で休息したと伝えられています。その後、姫路城を目指して進軍しました。

慶長6年（1602年）には、岡山に移封された小早川秀秋によって廃城となりました。

城跡の現状

現在、城跡には本丸跡を示す石碑と、宇喜多秀家誕生の地を記念する碑が建てられています。また、本丸跡にはソテツが植えられていますが、これには宇喜多秀家が関ヶ原の戦いに敗れ、八丈島に流罪となった後、子孫が赦免された際に八丈島でソテツの花が咲いたという言い伝えに由来するとされています。

しかし、残念ながら、往時の面影を残す遺構は多くありません。1980年代まで残存していた土塁も、公園化の際に破壊され、現在はわずかな痕跡を残すのみとなっています。西ノ丸西側に残っていた土塁も消失し、郭の耕作地化などにより、多くの遺構が失われています。古い絵図には東側に出丸が描かれていますが、これも耕作地化によって消滅したと考えられています。

岡山城との関連

亀山城の天守が岡山城に移築され、大納戸櫓として利用されたという言い伝えがありましたが、明治維新後に破却されています。

まとめ

亀山城は、宇喜多氏の勃興と、戦国時代の激しい勢力争いを物語る城跡です。城跡を訪れる際は、かつての城の姿を想像し、歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

所在地
岡山県岡山市東区沼

史跡指定
岡山市指定史跡

参考文献
平井聖ほか 1980『日本城郭大系』13 広島・岡山編 p.346
角川日本地名大辞典編纂委員会『角川日本地名大辞典（33.岡山県）』、角川書店、1989年

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