了徳院

了徳院：浦江聖天として信仰を集める歴史ある寺院

了徳院は、大阪市福島区に鎮座する東寺真言宗の寺院です。如意山を山号とし、本尊は準胝観音と十一面観音（大聖歓喜天）です。古くから「浦江聖天」の愛称で親しまれ、地域の人々から厚い信仰を集めてきました。

幾多の変遷を乗り越えて

了徳院の創建年代は、洪水による記録の損失のため不明です。現在伝えられる歴史は、元文元年（1736年）に高野山善寿院の宥意上人が入寺し、再建に着手したことに始まります。元文4年（1739年）に竣功しましたが、その後再び衰退しました。天保5年（1834年）に僧侶の手によって堂宇が再建され、現在に至ります。

了徳院は古くから伏見宮の祈願所として栄え、本堂には十一面観世音菩薩（大聖歓喜天）が安置されています。この大聖歓喜天は、浦江がまだ海岸線だった頃、漁師の網にかかって海中から出現したという伝説があります。この伝説と、子宝や縁結びのご利益を願う人々の信仰が、了徳院を「浦江聖天」「福島聖天」として広く知らしめました。

かつて境内には幾つもの水路が流れ込み、水辺には杜若が群生していました。花の季節には、美しい杜若を見ようと多くの参拝客が訪れ、賑わいを見せていたと言われています。著名な俳人、松尾芭蕉も門弟と共にこの地を訪れ、杜若を詠んだ句を残しています。その句碑も境内で見ることができます。

昭和20年（1945年）6月1日の第2回大阪大空襲では、山門と白髭稲荷大明神を除く建物が焼失するという大きな被害を受けました。しかし、戦後、復興を果たし、現在も人々の信仰を集める寺院として大切にされています。

境内にある様々な建物と信仰

了徳院の境内には、本堂の他にいくつかの建物があります。本堂には十一面観世音菩薩（大聖歓喜天）が、准胝観音堂には准胝観音、不動堂には不動明王がそれぞれ祀られています。その他、地蔵堂、役行者石塔、白髭稲荷大明神、五重石塔、芭蕉杜若句碑、弁財天、鐘楼、保育所和光園、庫裏などが境内を構成しています。山門は江戸時代の再建で、丸角流建築の代表作として知られ、子持ち龍の彫刻が施されています。

了徳院は、摂津国八十八箇所霊場の一つ（3番 和光寺、4番 了徳院、5番 持明院）であり、大阪四不動北方霊場にも含まれています。

アクセス

JR大阪環状線福島駅から北西へ徒歩5分の場所に位置しています。アクセスも良好なため、多くの参拝者が訪れる人気の寺院となっています。了徳院の歴史と信仰、そして美しい境内は、訪れる人々に安らぎと静寂を与えてくれるでしょう。

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