二分音符

二分音符（にぶおんぷ）

音楽において音の長さを表す記号である音符の一つに、二分音符があります。これは、基準となる全音符の半分の長さに相当し、また四分音符のちょうど二倍の長さを持つ音符として定義されます。楽譜にこの記号が記されている箇所では、指定された時間だけ音を持続させて演奏します。

長さと拍数

二分音符が実際に何拍分の長さになるかは、楽曲の拍子記号によって決まります。例えば、最も一般的な4分の4拍子（記号では4/4と書かれます）や、3分の4拍子（3/4）のように、拍子記号の下の数字が「4」である場合、二分音符は2拍分の長さとして演奏されます。これは、全音符が4拍、四分音符が1拍であることから理解できます。しかし、拍子記号の下の数字が「2」である場合、例えば2分の2拍子（これもよく使われ、「アッラ・ブレーヴェ」とも呼ばれます）では、二分音符が基準の1拍となります。この場合、全音符は2拍、四分音符は半拍というように、他の音符の拍数も変わります。

楽譜上の表記

二分音符は、楽譜上で以下のような特徴的な形をしています。

符頭（ふとう）: 音符の丸い部分です。二分音符の場合、全音符と同様に内部が塗りつぶされていない中空の楕円形をしています。
符幹（ふかん）: 符頭から垂直に伸びる棒の部分です。二分音符には、四分音符やそれより短い音符に見られるような「旗」（符尾）や「桁」（連桁）は付きません。

符幹の向きには、楽譜を見やすくするための一般的なルールがあります。五線譜の中央の線（第3線）を基準として、符頭が中線より下にある音符は、符頭の右側に符幹を上向きに伸ばします。逆に、符頭が中線より上にある音符は、符頭の左側から符幹を下向きに伸ばします。符頭がちょうど中線上にある場合は、通常下向きに書かれます。ただし、声楽譜など、特定の種類の楽譜や状況によっては、この規則の適用が異なる場合もあります。

二分休符

二分音符と同じ時間だけ音を出さないことを示す記号として、「二分休符」があります。これは楽譜上で、五線譜の中央の線（第3線）の上に、横長の黒い長方形のような形で表記されるのが一般的です。複数の独立した旋律線が同時に進行するポリフォニックな音楽では、それぞれの声部（パート）の休符の位置を明確にするため、二分休符が五線譜上の他の線や、場合によっては加線上（五線譜の上下に一時的に加えられる短い線）に記されることもあります。

名称の由来

「二分音符」という日本語の名称は、全音符を基準とした「半分」の長さであるという事実に由来しています。同様に、ギリシア語、中国語、韓国語などでも、「半分」を意味する言葉を含む名称が用いられています。ギリシア語では、現代的な「μισό」（miso）と古い表現である「ήμισι」（imisi）の両方が使われます。

歴史的な観点から見ると、この音符の名前には別の由来もあります。中世音楽の初期の記譜法において、二分音符に相当する音符は、当時使われていた五つの基本的な音符の中で最も短い音価を持っていました。このため、ラテン語で「最小」を意味する「minima」という言葉がその名称の起源となっています。

また、カタルーニャ語、フランス語、スペイン語といったロマンス語圏の言語における二分音符の名称は、「白」を意味する言葉から来ています。これは、中世後期に発展した「定量白記譜法」において、二分音符が最も音価が短い中空（白抜き）の符頭を持つ音符であったことに由来します。この記譜法の出現以前に使われていた「黒記譜法」では、二分音符にあたる音符は塗りつぶされた符頭を持ち、現在の四分音符に近い形状をしていました。白抜きの符頭を持つ音符（全音符や二分音符など）が導入されたことは、この記譜法の大きな特徴の一つでした。

アメリカ英語で使われる「half note」という名称は、19世紀にドイツ語の「halbe Note」（文字通り「半分の音符」）を翻訳借用したものであるとされています。

このように、二分音符は音楽理論の基礎であり、その表記や名称には歴史的な背景や各言語の文化が反映されています。

関連項目

演奏記号

参考文献

Morehen, John, and Richard Rastall. 2001. "Minim". The New Grove Dictionary of Music and Musicians, second edition, edited by Stanley Sadie and John Tyrrell. London: Macmillan Publishers.

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