二十八部衆

二十八部衆について

二十八部衆（にじゅうはちぶしゅう）は、千手観音の眷属となる神々の集まりで、合計28の部衆から成っています。これらの部衆は、方位や上下の影響を受けて構成されており、四つの主要な方角（東、西、南、北）にそれぞれ4部、さらに北東・東南・北西・西南に各1部ずつ配置されています。こうした配置は、仏教における宇宙観を反映していると考えられています。

典拠と歴史的背景

二十八部衆の著名な典拠は『千手観音造次第法儀軌』です。この著作は善無畏によって7世紀から8世紀にかけて翻訳されましたが、経典には多くの異なる名称が含まれており、複数の仏尊が一つの尊格として扱われていることがしばしば見受けられます。また、「二十八部大仙衆」という別のクラスターも存在し、これらは経典の編纂者によって非常に自由に取り扱われていることが理解されます。

弘法大師がこの経典を日本に持ち込み広めましたが、中国など他地域ではあまり普及しませんでした。この経典は『千手陀羅尼経』に記載された一切善神に関する部分とも関連していますが、そこに「一切善神」の指定が見られないことから、サンスクリットの解読においては誤解があったとされています。日本の僧侶、定深によって書かれた『千手経二十八部衆釈』では、この伝承をもとに詳細な修正が行われましたが、それ以外にはあまり注目されませんでした。

名称と構成

二十八部衆に名を連ねる各尊は、主に『千手陀羅尼経』や『金光明経』などから影響を受けています。特に「二十八」という数字は、古代インドの二十八宿に由来すると考えられています。『儀軌』に記載される尊名は約50部に及び、その中から選ばれた28の尊が現在認識されている二十八部衆を形成しています。中には重複する名称も見られますが、これは経典による韻律や構造の影響と考えられています。

ここで挙げる二十八部衆の名称には、那羅延堅固、難陀龍王、摩睺羅、緊那羅、迦楼羅、乾闥婆、毘舎闍などがあります。これらの名称は、各々独自の信仰や役割を象徴していますが、具体的な信仰や意義は寺院や地域によっても異なるため、詳しく学ぶことが大切です。

二十八部衆像を祀る寺院

日本国内には多くの寺院が二十八部衆像を安置しています。代表的な寺院には、岩手県・中尊寺、宮城県・斗蔵寺、東京都・三十三間堂、京都府・清水寺などがあります。それぞれの寺院では、二十八部衆の像がさまざまな形で信仰されています。

さらに、二十八部衆の信仰に関連する文化財は国や地域を問わず多く存在します。一部の京都や滋賀の寺院では、特に観音信仰が広く根付いており、訪れる人々はその神秘的な姿に心を奪われます。これらの寺院が持つ文化的、歴史的背景は、訪れる人々に深い感動を与えています。

まとめ

二十八部衆は、仏教信仰における重要な存在であり、特に千手観音との結びつきが強いです。各尊には独自の役割があり、地域ごとの信仰に影響を与えています。日本においては、弘法大師の導入から多くの寺院に祀られ、現在でも信仰の中心として存在し続けています。各像の背後には、数多くの教えや物語があり、それらを理解することでさらなる精神的な豊かさを得ることができるでしょう。

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