二式防空気球

二式防空気球

二式防空気球は、第二次世界大戦中に大日本帝国陸軍が開発・運用を試みた無人の阻塞気球です。敵機の侵入を阻止する目的で開発されましたが、本格的な量産には至りませんでした。

概要

二式防空気球は、陸軍の防空気球の一つとして開発されました。製造は東京第一陸軍造兵廠と相模陸軍造兵廠が担当し、製造にあたっては、藤倉工業、東京製鋼、日本製紐、中央ゴム、三菱重工業、日本特殊陶業、澤藤電機、矢崎電線、門田鉄工所といった多くの企業が協力しました。これらの企業は、部品製造などを担当しました。

1944年（昭和19年）7月には、高層気象台による防空気球雷災予防試験に用いられ、1945年（昭和20年）度には50基の製造が計画されました。しかし、実際には、協力企業での部品製造以降の段階に進んだものはごくわずかでした。この背景には、戦局の悪化や資源不足などの要因があったと考えられます。

二式防空気球は、敵機の侵入を妨げるために、空中に係留されることを目的としていました。係留索によって一定の高度に維持され、航空機の飛行を妨害する役割を担っていました。しかし、その実戦投入は限定的であり、歴史の中で目立った活躍をすることはありませんでした。

諸元

以下は、二式防空気球の主な諸元です。

全長：約18.6 m
気嚢最大径：約7.0 m
気嚢最大容積：約400 m3
重量：約200 kg
標準昇騰高度：約1,500 m
繋留索全長：約2,000 m

これらの諸元から、二式防空気球が比較的大型であり、一定の高度で安定して運用できる設計であったことがわかります。特に、繋留索の長さは、広範囲にわたって敵機の侵入を妨害するのに十分な長さでした。

まとめ

二式防空気球は、第二次世界大戦中に大日本帝国陸軍が開発した無人の防空気球であり、その開発には多くの企業が関わりました。実戦投入は限定的でしたが、当時の技術水準や戦時下の状況を理解する上で重要な存在です。資料が限られているため、詳しい運用状況などは不明な点が多く残されていますが、その開発経緯や技術的な特徴は、日本の航空技術史において特筆すべき点があります。

参考文献

* 佐山二郎『日本の軍用気球 知られざる異色の航空技術史』潮書房光人新社、2020年、219,226,227頁。ISBN 978-4-7698-3161-7。

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