二階崩れの変

二階崩れの変：豊後大友氏の内紛

二階崩れの変は、1550年（天文19年）2月に豊後の戦国大名・大友氏で発生した内紛です。大友義鑑が、嫡男である義鎮（後の宗麟）を廃嫡し、側室の子である塩市丸を後継者にしようとしたことが発端となり、大友家は義鎮派と塩市丸派に分裂し、激しい勢力争いを繰り広げることになります。

事件の経緯

義鑑は、義鎮派の重臣である小佐井大和守、斎藤長実、津久見美作、田口鑑親らに義鎮の廃嫡を諮りますが、彼らはこれを拒否し、義鑑を説得しました。しかし、義鑑と塩市丸の生母は、入田親誠と共謀し、義鎮派の主要人物を次々と粛清していきました。

危機感を抱いた津久見美作と田口鑑親らは、1550年2月10日、大友館の二階で就寝中の義鑑、塩市丸、そしてその生母を襲撃しました。この襲撃により、塩市丸とその生母、義鑑の娘2人が死亡、津久見と田口もその場で討死しました。義鑑もこの時の傷が原因で、数日後に亡くなりました。

義鑑の死後、戸次鑑連らの家臣が義鎮を擁立し、家督を継承させました。もしこの変が起こらなければ、大友宗麟は存在しなかったと言えるでしょう。

塩市丸派の入田親誠は肥後の阿蘇惟豊を頼って逃亡しましたが、事件後に阿蘇氏によって討たれました。義鎮は襲撃実行者を処罰しましたが、1553年には家臣による暗殺計画が発覚するなど、大友家は不安定な状況が続きました。

事件の背景と影響

義鑑が義鎮を廃嫡しようとした背景には、義鎮の生母が公家の出身であったことや、大内氏の勢力排除の意図があったとも言われています。二階崩れの変は、義鎮派の一部による暴走であるとする史料もありますが、不自然な点も多く、義鎮が陰で動いていた可能性も指摘されています。また、入田親誠の父である入田親廉は、当時大友氏の筆頭重臣であり、その排除が意図されていた可能性も考えられます。

現代においては、筑前琵琶などを通じて二階崩れの変が語り継がれています。

参考資料

『九州治乱記』
『大友記』
『豊後乱記』
『大友興廃記』

二階崩れを題材とした作品

高橋直樹『大友二階崩れ』（文藝春秋、1998年）
赤神諒『大友二階崩れ』（日本経済新聞出版社、2018年）

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