大友義鑑

大友義鑑：戦国時代の武将、大友氏二十代当主

大友義鑑（おおとも よしあき）は、戦国時代の武将であり、豊後国（現在の大分県）を治めた大友氏の二十代当主です。初めは親安、親敦と名乗っていましたが、室町幕府将軍・足利義晴より偏諱を賜り、義鑑と改名しました。

生涯

若き日の家督相続と初期の動向

文亀2年（1502年）に第19代当主・大友義長の子として生まれました。永正12年（1515年）に父の隠居により家督を継ぎましたが、若年であったため、当初は父や祖父の補佐を受けました。永正15年（1518年）には朽網親満による反乱を鎮圧しています。

領土拡大政策と菊池氏との争い

大永4年（1524年）に修理大夫に任官し、足利義晴から偏諱を受け義鑑と改名しました。大友氏は、義鑑の父の時代に内紛を収めており、義鑑は積極的に領土拡大政策を推進。肥後国（現在の熊本県）の名族・菊池氏が内紛で弱体化しているのを見て、弟の大友重治（菊池義武）を養子として送り込み、肥後を支配しようとしました。しかし、義武は義鑑と対立し、大友氏からの独立を画策したため、骨肉の争いを繰り広げることになります。

大内氏の侵攻と足利将軍家との関係

さらに、大内義隆の侵攻を受け、一時は豊後まで攻め込まれるなど劣勢に立たされましたが、天文7年（1538年）に足利義晴の仲介で和睦し、足利将軍家との関係を深めました。天文12年（1543年）には肥後守護に補任されています。

室町幕府への抗議

当時、格下と見られていた伊東義祐や有馬晴純が足利義晴から偏諱を受けたことに危機感を抱き、室町幕府に抗議を行っています。大友氏は、大内氏と並んで諸大夫への任官が許される最上級の家柄であると主張しましたが、大内氏側の認識は異なり、両家の紛争の一因となりました。

二階崩れの変と最期

天文19年（1550年）、義鑑は、粗暴で人望の薄い嫡男・義鎮（後の大友宗麟）ではなく、溺愛する三男・塩市丸に家督を譲ろうとしました。そのため、寵臣の入田親誠と共謀し、義鎮派の家臣を次々と殺害。しかし、身の危険を感じた義鎮派の家臣による逆襲を受け、2月10日、田口鑑親らによって居館を襲撃されます。この時、塩市丸とその母は殺害され、義鑑も瀕死の重傷を負い、2日後の2月12日に死亡しました（二階崩れの変）。享年49。家督は嫡男の義鎮が継ぎました。

死の直前に、領国経営に関する資料などを置文として遺しており、最終的には義鎮の家督相続を認めています。ただし、この置文は、瀕死の人物が書いたとは思えないほど丁寧に書かれており、義鎮による捏造が疑われています。

近年では、義鎮も二階崩れの変に関与していた可能性が指摘されています。

主な家臣と偏諱を受けた人物

義鑑から偏諱を受けた家臣を中心に、主な家臣を以下に示します。

菊池高鑑
日田鑑栄
財津鑑永
竹田津鑑久
赤星鑑直
赤星鑑規
麻生鑑益
一萬田鑑相
高橋鑑種
宗像鑑久
一萬田鑑実
豊饒鑑述
臼杵鑑栄
臼杵鑑賡
臼杵鑑速
内空閑鑑貞
羽野鑑房
大神鑑連
大津留鑑尚
小原鑑元
矢部鑑高
小川鑑昌
甲斐鑑昌
鹿子木鑑員
蒲池鑑久
河崎鑑実
木付鑑実
岐部鑑泰
清田鑑綱
小田鑑言
長野鑑良
帆足鑑直
草野鑑直
朽網鑑康
隈部鑑義
黒木鑑実
合志鑑岑
小佐井鑑直
五条鑑量
佐伯惟教
賀来鑑保
坂折鑑秀
佐藤鑑直
志賀鑑隆
麦生鑑光
城島鑑時
千手鑑元
寒田鑑秀
高木鑑房
高瀬鑑俊
田北鑑敦
田口鑑親
詫摩鑑秀
立花鑑載
戸次鑑連
小野鑑幸
竹迫鑑種
田尻鑑種
田吹鑑富
田原鑑種
津江鑑盛
津久見美作
堤 鑑智
利光鑑教
富来鑑秀
永弘鑑富
奈多鑑基
夏足鑑秀
橋爪鑑種
馬場鑑周
三池鑑速
溝口鑑資
三原鑑種
室原鑑知
問註所鑑豊
安武鑑政
山下鑑心
吉岡鑑忠
佐土原鑑親
吉弘鑑理
龍造寺鑑兼
渡辺 鑑

義鑑亡き後

義鑑から偏諱を賜った人物の子孫が、祖先から「鑑」の字を受け継いで名前に用いる例も見られます。また、柳河藩主立花氏の歴代当主にも「鑑」の字が見られます。

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