二風谷
北海道日高振興局管内、沙流郡平取町に位置する集落である「二風谷（にぶたに）」は、平取町役場がある中心市街地から国道237号を沙流川沿いに約4キロメートルさかのぼった地点に広がっています。2010年10月1日時点での人口は395人となっており、郵便番号は055-0101です。
この地域は人口構成に特色があり、住民の半数以上をアイヌ民族が占めています。これは北海道内でも特にアイヌ民族の割合が高い地域として知られ、古くからアイヌ文化の拠点となってきました。そのため、文化の保存・伝承・発信に関わる施設が多く集まっています。萱野茂二風谷アイヌ資料館や二風谷アイヌ文化博物館があり、アイヌの伝統家屋であるチセを訪れることも可能です。また、沙流川歴史館や平取町アイヌ文化情報センターといった、地域の歴史や文化に関する施設も立地しています。
文化・歴史関連施設に加え、びらとり温泉や二風谷ファミリーランドのようなレジャー施設も整備されています。また、イギリス出身の医師であり人類学者でもあったニール・ゴードン・マンローが1933年から1942年まで医院を開業し暮らした邸宅は、現在、北海道大学文学部の研究室として利用されています。
地域の自然環境としては、沙流川が集落を縦断しており、その支流である看看川（カンカン川）も流れています。
「ニブタニ」という地名は、江戸時代の文献にも登場する古いものですが、その語源ははっきりしていません。一説には、松浦武四郎の『左留日誌』の記述をもとに「ニㇷ゚タイ（nip-ta-i）」、すなわち「柄を・作った・ところ」から来ているのではないかとも言われています。
二風谷の歴史は古く、カンカン2遺跡からは縄文時代、続縄文時代、擦文時代の遺物が、ピパウシ遺跡からは1500年頃の遺物が出土しており、古くから人々が暮らしていたことがうかがえます。また、1667年の樽前山噴火の頃の遺物が見つかる二風谷遺跡も存在します。防衛施設であるチャシ跡も残されており、伝承不明のポロモイチャシや、二風谷24番地に位置するユオイチャシがあります。
江戸時代には集落として認識されており、1808年の『左留場所大概書』には「ニヒタニ」として11軒の戸数が記録されています。1826年頃の高橋景保による蝦夷図には「ニプタニ」と記載され、1858年に松浦武四郎がこの地を訪れた際には、「ニプタニ」「ピパウシ」「カンカン」のコタン名と合計116人の住民数を『左留日誌』に残しています。
明治時代に入り、1892年には二風谷尋常小学校が開校しました。行政組織としては、1897年1月1日に「二風谷村」が発足しています。大正時代の1920年には、第一回国勢調査で人口311人を記録しましたが、1923年10月1日には、二風谷村が平取村などと合併し、新たな平取村の一部となりました。その後、1954年11月1日に平取村が町制を施行し平取町となったことで、二風谷も平取町字二風谷と改称されました。
昭和期以降は、文化施設の実現や、地域の大きな出来事が続きます。1930年にはニール・ゴードン・マンローが医院を開業し、1972年には二風谷アイヌ資料館が設立されました。1973年には二風谷ダムの建設が着工され、1987年には強制収用の手続きが行われました。このダム建設は、地域の住民、特にアイヌ民族の権利を巡る問題として大きな注目を集めました。平成に入ると、1989年にアイヌモシリ一万年祭が開催され、1993年にはダム建設に反対する地権者の貝澤正氏と萱野茂氏が国を相手に行政訴訟を提起しました。1994年8月には、住民である萱野茂氏が繰上げ当選により参議院議員に就任し、アイヌ民族として初の国会議員となりました。ダム自体は1997年10月に竣工しましたが、ダムを巡る訴訟は、2008年7月1日～4日に二風谷を会場の一つとして開催された「先住民族サミット」アイヌモシリ2008といった出来事とも関連しながら、アイヌ民族の権利確立に向けた動きを象徴するものとなりました。
その他の施設として、学校は平取町立二風谷小学校（へき地等級1級）がありますが、中学校はなく、生徒は平取町立平取中学校へ通学しています。郵便局は平取二風谷簡易郵便局があります。宿泊施設としては、びらとり温泉ゆからやゲストハウス二風谷ヤントのほか、民宿が2軒あり、二風谷ファミリーランドでは5月から10月にかけてバンガローに宿泊可能です。また、二風谷ファームは競走馬の生産牧場として知られ、かつてトウカイテイオーやサイレンススズカといった名馬が調教を受けた二風谷軽種馬育成センターも併設されています。
交通アクセスは、道南バスの『資料館前』または『びらとり温泉前』バス停を利用するのが一般的です。
二風谷には、地域の歴史や文化、社会運動に深く関わった人物が多数います。前述の萱野茂氏のほか、二風谷ダム建設反対訴訟の原告である貝澤正氏や貝澤耕一氏、山道アイヌ語教室を運営しアイヌモシリ一万年祭実行委員の中心人物であった山道康子氏、萱野茂二風谷アイヌ資料館長でアイヌ民族党代表の萱野志朗氏、そして旧邸宅が残るニール・ゴードン・マンローなどが、この地にゆかりのある人物として挙げられます。
この地域は人口構成に特色があり、住民の半数以上をアイヌ民族が占めています。これは北海道内でも特にアイヌ民族の割合が高い地域として知られ、古くからアイヌ文化の拠点となってきました。そのため、文化の保存・伝承・発信に関わる施設が多く集まっています。萱野茂二風谷アイヌ資料館や二風谷アイヌ文化博物館があり、アイヌの伝統家屋であるチセを訪れることも可能です。また、沙流川歴史館や平取町アイヌ文化情報センターといった、地域の歴史や文化に関する施設も立地しています。
文化・歴史関連施設に加え、びらとり温泉や二風谷ファミリーランドのようなレジャー施設も整備されています。また、イギリス出身の医師であり人類学者でもあったニール・ゴードン・マンローが1933年から1942年まで医院を開業し暮らした邸宅は、現在、北海道大学文学部の研究室として利用されています。
地域の自然環境としては、沙流川が集落を縦断しており、その支流である看看川（カンカン川）も流れています。
「ニブタニ」という地名は、江戸時代の文献にも登場する古いものですが、その語源ははっきりしていません。一説には、松浦武四郎の『左留日誌』の記述をもとに「ニㇷ゚タイ（nip-ta-i）」、すなわち「柄を・作った・ところ」から来ているのではないかとも言われています。
二風谷の歴史は古く、カンカン2遺跡からは縄文時代、続縄文時代、擦文時代の遺物が、ピパウシ遺跡からは1500年頃の遺物が出土しており、古くから人々が暮らしていたことがうかがえます。また、1667年の樽前山噴火の頃の遺物が見つかる二風谷遺跡も存在します。防衛施設であるチャシ跡も残されており、伝承不明のポロモイチャシや、二風谷24番地に位置するユオイチャシがあります。
江戸時代には集落として認識されており、1808年の『左留場所大概書』には「ニヒタニ」として11軒の戸数が記録されています。1826年頃の高橋景保による蝦夷図には「ニプタニ」と記載され、1858年に松浦武四郎がこの地を訪れた際には、「ニプタニ」「ピパウシ」「カンカン」のコタン名と合計116人の住民数を『左留日誌』に残しています。
明治時代に入り、1892年には二風谷尋常小学校が開校しました。行政組織としては、1897年1月1日に「二風谷村」が発足しています。大正時代の1920年には、第一回国勢調査で人口311人を記録しましたが、1923年10月1日には、二風谷村が平取村などと合併し、新たな平取村の一部となりました。その後、1954年11月1日に平取村が町制を施行し平取町となったことで、二風谷も平取町字二風谷と改称されました。
昭和期以降は、文化施設の実現や、地域の大きな出来事が続きます。1930年にはニール・ゴードン・マンローが医院を開業し、1972年には二風谷アイヌ資料館が設立されました。1973年には二風谷ダムの建設が着工され、1987年には強制収用の手続きが行われました。このダム建設は、地域の住民、特にアイヌ民族の権利を巡る問題として大きな注目を集めました。平成に入ると、1989年にアイヌモシリ一万年祭が開催され、1993年にはダム建設に反対する地権者の貝澤正氏と萱野茂氏が国を相手に行政訴訟を提起しました。1994年8月には、住民である萱野茂氏が繰上げ当選により参議院議員に就任し、アイヌ民族として初の国会議員となりました。ダム自体は1997年10月に竣工しましたが、ダムを巡る訴訟は、2008年7月1日～4日に二風谷を会場の一つとして開催された「先住民族サミット」アイヌモシリ2008といった出来事とも関連しながら、アイヌ民族の権利確立に向けた動きを象徴するものとなりました。
その他の施設として、学校は平取町立二風谷小学校（へき地等級1級）がありますが、中学校はなく、生徒は平取町立平取中学校へ通学しています。郵便局は平取二風谷簡易郵便局があります。宿泊施設としては、びらとり温泉ゆからやゲストハウス二風谷ヤントのほか、民宿が2軒あり、二風谷ファミリーランドでは5月から10月にかけてバンガローに宿泊可能です。また、二風谷ファームは競走馬の生産牧場として知られ、かつてトウカイテイオーやサイレンススズカといった名馬が調教を受けた二風谷軽種馬育成センターも併設されています。
交通アクセスは、道南バスの『資料館前』または『びらとり温泉前』バス停を利用するのが一般的です。
二風谷には、地域の歴史や文化、社会運動に深く関わった人物が多数います。前述の萱野茂氏のほか、二風谷ダム建設反対訴訟の原告である貝澤正氏や貝澤耕一氏、山道アイヌ語教室を運営しアイヌモシリ一万年祭実行委員の中心人物であった山道康子氏、萱野茂二風谷アイヌ資料館長でアイヌ民族党代表の萱野志朗氏、そして旧邸宅が残るニール・ゴードン・マンローなどが、この地にゆかりのある人物として挙げられます。
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