于蔭霖

于蔭霖の生涯と業績

于蔭霖（う いんりん、1838年 - 1904年）は、清の末期に活躍した官僚であり、特にその清廉さと学問への情熱で知られています。彼の出身地は現在の吉林省長春市にあたる吉林ベドゥネ庁で、進士となった1859年から官僚生活を歩み始めました。1862年には翰林院の編修に任命され、学問の振興に貢献しました。

彼の政治経歴の中で特に注目される出来事は、1878年に発生したイリ問題です。清朝の朝廷が崇厚をロシアとの交渉にあたらせた際、崇厚が締結したリヴァディア条約に対して、于蔭霖は当時の有力な官僚たち、張之洞、黄体芳、張佩綸らと共に、その内容に強く反対し、崇厚の処分を上奏しました。その結果、リヴァディア条約は承認されず、崇厚は責任を問われることになりました。

次に、1882年には湖北省荊宜施道に任命され、そこでの彼のリーダーシップが光りました。大雨による河川の氾濫が発生し、多くの農民が被害に遭いましたが、于蔭霖は即座に糧米を放出し、被災者への支援を行いました。また、農民を組織して堤防の修築に取り組み、地域の復興に貢献しました。さらに、彼は学問を重視し、荊州書院を設立し、優れた学者を招いて人材育成に尽力しました。

その後、1885年には広東按察使に就任し、次いで雲南布政使、1886年には台湾布政使にも任命されましたが、母の訃報を受けて赴任をかないませんでした。1894年の日清戦争が起こると、于蔭霖は2万人の兵士を集めて黒竜江将軍イクタンガを支援しました。戦争の結果、1895年には再び雲南布政使を経て1899年には安徽布政使に昇進し、その後は湖北巡撫に転任します。

1900年、義和団の乱が起こり、北京が外国軍に占領される事態に至りました。この緊迫した状況の中、于蔭霖は河北においてキリスト教徒を襲った者たちを厳正に処罰し、教案を解決へと導きました。この行動は、外国勢力への対応における彼の冷静さを示しています。また、彼は汚職に対しても毅然とした態度で臨み、清廉にしてあるべき官僚を体現しました。

最晩年、于蔭霖は南陽に住まいましたが、その生涯を通じて清政界に多大な影響を与えました。彼の行動には、公正な行政と学問への献身が色濃く表れています。今日でも彼の業績は中国の官僚制度における一つの模範として称えられ、多くの人々に影響を与え続けています。

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