五個荘町

滋賀県東近江市五個荘地区：近江商人の歴史と文化が息づく町

東近江市五個荘地区は、滋賀県東部に位置し、古くから交通の要衝として栄えてきた地域です。近江商人の発祥地の一つとして知られ、歴史的な町並み、伝統的な産業、豊かな自然など、多くの魅力を兼ね備えています。

近江商人のまち、五個荘

五個荘の名称は、鳥羽院政期（12世紀）に「山前五個荘」と呼ばれたことに由来します。山前荘に主要な荘園が5つ存在したことにちなむという説が有力です。中世以降、交通の便の良さから商業が発展し、特に江戸時代後期から昭和初期にかけては多くの近江商人を輩出しました。成功した商人の屋敷や庭園などが現在も数多く残っており、その歴史と繁栄を物語っています。1980年代後半からは「近江商人発祥の地・てんびんの里」をキャッチフレーズに、それらの保存と観光資源化が進められています。

地理と自然

五個荘地区は、近江盆地（湖東平野）に位置し、東部は愛知川、西部は繖山、南部は箕作山、北東部は和田山に囲まれた、中央部が平地となっている地形です。大同川、天保川、瓜生川などの河川が流れ、かつては豊かな水資源に恵まれていました。しかし、戦後の開発や水資源の枯渇によって、自然環境は変化しました。近年では里山保全活動や湧水の再生など、自然環境の保護に向けた取り組みも活発に行われています。

地域の構成と歴史

五個荘地区は、東地区、南地区、北地区の大きく3つの地域から構成されています。それぞれの地域には、歴史的な集落や名所、旧村時代の役場や小学校などの跡地が残っています。

古代から開発が進み、律令制下では建部郷や小幡郷に属していました。中世には建部荘、山前荘、小幡荘の3つの荘園があり、六角氏の支配下にありました。織田信長との観音寺城の戦いでは、五個荘地区全体が戦場となりました。室町時代には、小幡三郷から商人が起こり、伊勢や若狭方面で活動する商業集団に属していました。江戸時代には、彦根藩の商業自由化政策もあり、金堂、川並、山本、宮荘などから多くの商人が輩出されました。近江商人の発展に大きく貢献した地域なのです。

伝統と文化

五個荘地区には、近江商人の屋敷や庭園だけでなく、多くの寺社仏閣や歴史的な建造物が残っています。金堂の町並みは重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、美しい景観が魅力です。石馬寺や慈恩寺などの寺社には、国宝や重要文化財に指定されている仏像などが保存されています。また、小幡人形や三俣の梵鐘、簗瀬箕などの伝統工芸も受け継がれています。

教育と公共施設

五個荘地区には、小学校、中学校、専門学校、図書館、公民館、体育館などの教育・公共施設が整備されています。また、近江商人博物館など、地域の歴史や文化を学ぶことができる施設もあります。かつては町役場や各支所、警察署などが存在していましたが、東近江市との合併後、機能は統合・変更されています。

交通とアクセス

五個荘地区は、国道8号や東海道新幹線が通っており、交通アクセスは比較的良好です。近江鉄道本線五箇荘駅も存在します。バス路線も整備されていますが、合併後は乗合タクシーに転換された路線もあります。

五個荘地区を舞台にした作品

五個荘地区は、小説、映画、テレビドラマなどの舞台にもなってきました。外村繁の小説『草筏』や司馬遼太郎の『街道をゆく』など、多くの作品で描かれ、その魅力が広く知られています。

まとめ

東近江市五個荘地区は、近江商人の歴史と文化、美しい自然、そして現代の活気が融合した魅力的な地域です。近江商人の精神「三方よし」を体感できる場所として、多くの人々に愛されています。歴史的な町並みを散策したり、伝統工芸に触れたり、豊かな自然を満喫したりと、様々な楽しみ方ができるでしょう。近江の歴史と文化に触れる旅の目的地として、ぜひ訪れてみてください。

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