五加村 (長野県)

五加村（ごかむら）

五加村は、かつて長野県埴科郡に存在した村です。現在の千曲市の中央部、しなの鉄道線千曲駅の西側、千曲川の右岸に位置していました。この地は、豊かな自然と歴史に彩られた場所でした。

地理

村の東側には千曲川が流れ、肥沃な土地が広がっていました。この千曲川は、村の農業を支える重要な水源であると同時に、時には大きな災害をもたらす存在でもありました。

歴史

五加村は、1889年（明治22年）4月1日に、上徳間村、内川村、千本柳村、小船山村、中村の旧松代藩領の区域が合併して発足しました。小船山と中村は、当初は更級郡に属していましたが、後に五加村に編入されました。

1889年6月1日には、米沢圭作が初代村長に就任しました。同年には、戸倉学校千本柳支校が戸倉学校から分離し、中村・小船山の旧凪弦学校区は鋳物師屋学校から分離して合併し、五加尋常小学校として新たなスタートを切りました。

1890年4月1日には、千本柳に五加巡査駐在所が設置され、治安維持の拠点となりました。1892年4月1日には、五加小学校の二階建て校舎が建設されましたが、棟上げ直前に大風で倒壊するという悲劇に見舞われました。しかし、村の人々はめげることなく、復興に向けて立ち上がりました。この頃、千本柳には救済会（無尽会）が設立され、地域住民の相互扶助の精神が育まれました。

1896年4月1日、五加尋常小学校は五加尋常高等小学校へと改称し、教育の充実が図られました。1898年6月4日には、千本柳に五加銀行が設立され、地域の金融を支える重要な役割を果たしました。同年9月には、千曲川の増水により、上徳間地区と一里塚地区の全戸が浸水し、小船山では全戸に土砂が堆積し、耕地の3割が流失するという大被害に見舞われました。災害の教訓から、各学校には学校医が配置され、生徒に年1回の身体検査が実施されるようになりました。1899年4月14日には、赤地三右衛門が村長に就任し、村政を担いました。

1900年代に入ると、内川に公会場が新築され、内川倶楽部と命名され、地域の文化の中心となりました。1901年には、千本柳に蚕種同業組合が発足し、養蚕業の発展に貢献しました。1902年には五加購買組合が設立され、物資の共同購入が進められました。同年には、緑川与一郎が村長に就任し、五加農工補習学校が開校しました。

1907年には、五加郵便局が千本柳に開局し、通信網が整備されました。また、日露戦没者忠魂碑が五加小学校に建立され、戦没者を慰霊しました。1908年には、小学校の義務教育が6年となり、五加小学校に高等補習科が設置されました。1910年には、明治期最大の千曲川の洪水が発生し、堤防が決壊。上徳間や内川、荒屋地区では多くの家屋が浸水するという大被害を受けました。

1911年、内川同志会は農事改良と農村風俗改善の功績が認められ、大農会総裁から表彰されました。同年には、源氏蛍3万匹を皇孫に献上するという出来事もありました。1916年には、五加小学校庭の記念樹を切ったことがきっかけで、村と学校間で紛争が起こりました。

大正時代に入ると、1919年には内川区に県内初の小作組合が組織され、小作料の減免運動が起こりました。1920年には内川で大火が発生し、多くの家屋が焼失しました。1926年には五加信用組合が設立され、地域の金融を支えました。

昭和時代に入ると、1930年には全農内川支部が小作料減免を求めて大規模なデモを行い、地主側との間で激しい争議が起こりました。この争議は2年以上の歳月を要し、最終的には解決しました。1935年には五加実業補習学校と青年訓練所が合併し、五加青年学校となりました。1938年には、内川の蛍と神代欅が長野県の天然記念物に指定されました。

第二次世界大戦中には、五加国民学校に疎開学童が受け入れられました。1947年には、国民学校が小学校と改称され、新制中学校が併設されました。1951年には、村長がリコールにより辞任するという出来事がありました。1952年には、五加地区の土地改良工事が着工しました。

そして、1955年7月1日、五加村は上徳間、内川、千本柳、小船山が戸倉町と合併し、中村は埴生町に編入され、その歴史を閉じました。その後、2003年には、更埴市、戸倉町、上山田町が合併し、千曲市が発足しました。

交通

村域を日本国有鉄道の信越本線（現在のしなの鉄道線）が通過しましたが、駅は存在しませんでした。道路としては、国道18号が村内を通っていました。

参考文献

角川日本地名大辞典 20 長野県
「年表・戸倉町の今昔」戸倉町教育委員会

関連項目

* 長野県の廃止市町[[村]]一覧

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