五十嵐太郎

五十嵐太郎 (いがらし たろう)



概要



五十嵐太郎は、1967年3月17日生まれの日本の建築史家、建築評論家です。東北大学大学院教授として、都市・建築デザイン学講座の都市・建築理論分野を構成しています。専門の建築史に加え、映画、マンガ、アニメ、ゲームといった建築とは直接関係のない分野にも深い知識を持ち、幅広い視点から建築を論じることが特徴です。

生い立ちと学歴



フランスパリで生まれ、幼少期をフランスで過ごしました。父親は美学、母親は美術史の研究者という家庭環境で育ち、5歳までフランス語を母語としていました。帰国後は、父親の仕事の関係で千葉市から金沢市に転居し、金沢大学附属中学・高校に進学しました。1989年に東京大学工学部建築学科を卒業後、1992年に東京大学大学院修士課程を修了、2000年には東京大学大学院博士課程にて工学博士の学位を取得しました。博士論文のテーマは「新宗教の空間 その理念と実践」です。

職歴



2002年より中部大学工学部建築学科講師、2004年には同大学の助教授に就任しました。2005年からは東北大学大学院工学研究科・都市・建築学専攻の助教授となり、2009年には同大学の教授に昇進しました。2010年から2014年まで東北大学大学院SSD(Sendai School of Design)教授も兼任し、PBLスタジオでメディア軸を担当しました。

主な活動



2011年8月には、あいちトリエンナーレ2013の芸術監督に就任し、その功績により2014年に芸術選奨新人賞(芸術振興部門)を受賞しました。2008年には、第11回ヴェネツィアビエンナーレ国際建築展において、キュレーターとして石上純也をアーティストに指名しました。この展示では、日本館外部の庭にガラスと鉄骨の温室を設置し、多様な植物を植え、内部はドローイングで埋め尽くすという斬新な手法が注目を集めました。この展示は各国のメディアから高い評価を受けましたが、金獅子賞の受賞には至りませんでした。

その他、TEPCOインターカレッジデザイン選手権、ユニオン造形デザイン賞、せんだいデザインリーグ、東海地区卒業設計合同展dipcolle、景観開花など、数々のデザインコンペティションやイベントで審査員を務めています。

近年の動向



近年は、南泰裕、山田幸司、倉方俊輔、北川啓介、松田達、大西麻貴らとともに建築系ラジオを主宰し、情報発信を行っています。2015年には、国立競技場建設に関するメディアの取材に対し、ザハ・ハディド案に対する批判的なコメントが求められたため、取材がボツになった経緯を明かしました。ザハ・ハディド事務所に対する当時の社会的な風潮を批判的に捉え、問題提起を行っています。

著書



多数の単著、共著、編著を出版しており、その著作は建築史、都市論、現代文化論など多岐にわたります。主な著書には、『終わりの建築/始まりの建築 ポスト・ラディカリズムの建築と言説』、『新宗教と巨大建築』、『近代の神々と建築 靖国神社からソルトレイク・シティまで』、『戦争と建築』、『現代建築のパースペクティブ 日本のポスト・ポストモダンを見て歩く』、『映画的建築/建築的映画』、『被災地を歩きながら考えたこと』、『日本建築入門 近代と伝統』、『モダニズム崩壊後の建築 1968年以降の転回と思想』などがあります。これらの著作を通して、建築と社会、文化との関わりについて考察を深めています。その他、多数の書籍を編著、共著として執筆しており、建築界に多大な影響を与えています。

関連事項



東京大学の人物一覧
東北大学の人物一覧
景観開花
建築系ラジオ
南泰裕
山田幸司
あいちトリエンナーレ

外部リンク



taroigarashi (@taroigarashi) - X(旧Twitter)
Twisted Column
五十嵐太郎研究室/東北大学 都市・建築理論
* ヴェネチアビエンナーレ国際建築展2008

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