五島盛繁

五島盛繁（ごとう もりしげ）の生涯

五島盛繁は、肥前国福江藩の第9代藩主であり、五島家29代の当主です。彼は寛政3年（1791年）9月26日に第8代藩主・五島盛運の次男として誕生しました。彼の兄は早くに亡くなったため、盛繁は世子として指名され、文化3年（1806年）3月に元服を迎えました。その後、文化6年（1809年）に父が亡くなり、彼は藩主の座を引き継ぎました。

彼の治世における大きな課題は、当時進行中だった外国との交流に備えるための海防の強化でした。盛繁はこの目標を達成するために、藩の財政を強化する施策を実施しました。しかし、すでに財政が厳しい福江藩には十分な資金余裕がなかったため、彼は商人からの献金を多額に求める代わりに、武士の身分の売買を行うという手段をとりました。この結果、「金あげ侍」と呼ばれる新たな武士階級が形成されました。

この事態は商人たちに藩政に対する強い影響を与えることになり、その後危機を乗り越えるために、家格にとらわれず個人の才能を重視することが強く提唱され、序位昇進制が採用されるに至ります。文政4年（1821年）には、この方針の一環として藩校である育英館が創設され、教育の重要性が認識されるようになりました。

しかし、盛繁が直面した財政の厳しさは解消されることはなく、領民の生活はますます困窮していきました。文政8年（1825年）には、三尾野で百姓一揆が発生するなど、藩内の混乱は続きました。これにより、盛繁は非常に厳しい藩主としての責任を感じ、家計を立て直すために努力を重ねました。

最終的には、文政12年（1829年）12月24日に長男の盛成に家督を譲り、隠居生活へと入ります。隠居後の彼は静かな生活を送り、慶応元年（1865年）4月19日に75歳でその生涯を閉じました。

系譜

盛繁の父は五島盛運であり、母は側室である里世でした。正室には松平直恒の娘・磯子がいます。また、側室には木村氏からの登勢がいます。彼には数人の子女がいます。長男の盛成は、登勢を生母に持ち、次男の松平近章、三男の五島盛保、さらに五島忠泰という子もいます。盛繁の娘には本多忠鄰の正室となり、盛成の養女となった昌子がいます。

五島盛繁の治世は、様々な困難に直面しながらも、藩政や教育制度に大きな影響を与える時代でありました。彼の改革は、後の福江藩においても重要な意味を持ち続けています。

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