五島盛運

五島盛運（ごとう もりゆき）は、肥前国福江藩の第8代藩主であり、五島氏の28代当主です。

生涯

宝暦3年（1753年）に、第7代藩主・五島盛道の次男として福江に生まれました。異説として五男、あるいは寛延3年（1750年）生まれとも伝えられています。長兄の盛義が病弱であったため、宝暦10年（1760年）に世子に指名されました。明和6年（1769年）に父の隠居により家督を継ぎ、従五位下・大和守に叙位・任官されました。

藩主就任早々、大虫害に見舞われ、藩は大きな被害を受けました。安永2年（1772年）には、農村復興策として大村藩からの移住を奨励しました。当時、大村藩ではキリシタンへの弾圧が厳しかったため、多くのキリシタンが五島藩へ移住し、「居者百姓」と呼ばれました。しかし、予想以上に多くの隠れキリシタンが移住してきたため、幕府からの追及を恐れた盛運は、キリシタン弾圧に乗り出しました。一方で、移住政策が農村復興に貢献し、藩財政も一時的に好転したため、盛運は弾圧を緩め、キリシタンの移住を黙認するようになります。そのため、盛運はキリシタンから「福の神」とまで称えられました。

寛政期に入ると、藩財政が再び悪化したため、山田茂右衛門を登用して藩政改革を進めましたが、寛政9年（1797年）には福江藩史上初の百姓一揆が発生しました。この事態を受け、藩は義倉を設置し、領民の救済を優先する政策へと転換しました。

文化期に入ると、外国船の接近が問題となり、特にフェートン号事件などを契機に海防強化を推し進めました。しかし、文化6年（1809年）に病に倒れ、同年5月9日に57歳で死去しました。跡は次男の盛繁が継ぎました。

系譜

父：五島盛道
母：品 ー 八尾氏、側室
正室：加奈子 ー 戸田氏之の娘
継室：三保子 ー 土井利里の養女、土井利剛の娘
側室：里世 ー 西村氏
子女：
五島盛繁（次男）：生母は里世（側室）
青方運善（三男）
五島運広（四男）
五島運綱（六男）
静子 ー 京極高行正室
戸田氏宥正室
* 養女：伊東長寛室 ー 五島盛義の娘

盛運は、藩政の安定と領民の生活向上に尽力した藩主として知られています。特に、キリシタンに対する政策は、評価が分かれる点ではありますが、当時の社会情勢を反映したものであったと言えるでしょう。

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