本多忠鄰

本多忠鄰：播磨国山崎藩、激動の時代を生きた藩主

本多忠鄰（ほんだ ただちか）は、江戸時代後期、播磨国山崎藩（現在の兵庫県宍粟市山崎町）の第8代藩主です。政信系本多家9代当主として、藩政改革や教育振興に努め、幕末の動乱期には難しい舵取りを迫られました。

生涯

文化9年（1812年）に第6代藩主・本多忠居の四男として生まれました。幼名は貞之助。天保5年（1834年）、兄である第7代藩主・本多忠敬の隠居により家督を継ぎました。

藩主就任後、忠鄰は藩財政の再建に力を注ぎました。家臣の片桐内蔵治を家老に登用し、徹底した倹約や経費削減、金融改革などを推進しました。幕末の動乱期には、大砲の鋳造や海防の強化に尽力し、第一次長州征討では幕府軍に参加して功績を挙げました。しかし、第二次長州征討では軍費不足のため出陣を断念せざるを得ませんでした。

また、忠鄰は学問にも深い関心を持ち、天保年間に堀内次右衛門や大爺円治らを登用して藩内の学問を奨励しました。藩校である思斉館を創設し、人材育成に力を注ぎました。この思斉館は、現在の宍粟市立山崎小学校の基礎になったと言われています。

慶応4年（1868年）の戊辰戦争では、当初は幕府側に与する姿勢を見せていましたが、情勢を判断し新政府側に帰順しました。長男の寅次郎が早世していたため、次男の忠明を世子とし、明治2年（1869年）に家督を譲って隠居しました。明治7年（1874年）に63歳で亡くなり、大雲寺（兵庫県宍粟市山崎町上寺）に葬られました。

系譜

父：本多忠居（1771-1819）
母：堀直教の養女 - 堀直泰の娘
養父：本多忠敬（1793-1850）
養母：本多忠顕の娘
正室：昌子 - 五島盛成の養女、五島盛繁の娘
側室：多数
子女：
長男：寅次郎
次男：本多忠明（1833-1901）
三男：有馬道純（1837-1903） - 有馬温純の養子
四男：本多忠肇（1846-1865） - 本多忠民の養子
六男：植村家壷（1847-1920） - 植村家保の養子
* 八男：本多忠禎

本多忠鄰は、激動の時代において、藩主として、教育者として、そして一人の人間として、様々な困難に立ち向かい、その生涯を全うしました。彼の功績は、現代においても語り継がれています。

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