五日物語 -3つの王国と3人の女-

『五日物語 -3つの王国と3人の女-』（原題：Il racconto dei racconti、英語: Tale of Tales）は、2015年に公開されたイタリア・フランス・イギリス合作のダークファンタジー映画です。ルネサンス期のナポリの詩人、ジャンバティスタ・バジーレの作品『ペンタメローネ』を原作とし、マッテオ・ガローネが監督を務めました。サルマ・ハエック、ヴァンサン・カッセル、トビー・ジョーンズ、ジョン・C・ライリーなど、国際色豊かな豪華キャストが出演しています。

この映画は、ガローネ監督にとって初の英語作品であり、第68回カンヌ国際映画祭ではパルム・ドールの候補にもなりました。

あらすじ

物語は、三つの王国を舞台に、それぞれの王国の女王や王女たちの運命を描いています。

ロングトレリス王国：
子供を望むロングトレリスの王妃は、ネクロマンサーの助言に従い、ドラゴンの心臓を食べることで息子エリアスを授かります。しかし、その代償として王は命を落とします。エリアスは、同じ日に生まれたジョナと親しくなりますが、女王は息子の心が自分から離れることを恐れ、ジョナを排除しようとします。ジョナが危険にさらされたとき、エリアスは彼を救うために奔走します。女王は、ネクロマンサーの力を借りて息子を探そうとしますが、彼女の行動が悲劇を招きます。

ストロングクリフ王国：
ストロングクリフの王は、放蕩の限りを尽くしていましたが、ある日、老婆ドーラの美しい歌声に魅了されます。ドーラは魔法で若返り、王妃となりますが、妹インマとの間で起こる事件は、ドーラの運命を狂わせます。

ハイヒルズ王国：
ハイヒルズの王女ヴァイオレットは、大人になることを夢見ていましたが、父王の気まぐれにより、オーガとの結婚を余儀なくされます。ヴァイオレットは、過酷な生活に絶望しますが、旅芸人の一家に助けを求め、オーガに立ち向かいます。彼女は、最終的に王国を継ぐことになります。

映画の特徴

この映画は、単なるおとぎ話ではなく、人間の欲望、執念、愛憎を描いたダークファンタジー作品です。美しい映像と豪華キャストによる演技が、物語の世界観をより一層引き立てています。

監督のマッテオ・ガローネは、原作の『ペンタメローネ』に現代にも通じる要素を見出し、映画化に至ったと語っています。彼は、フランシスコ・デ・ゴヤの版画集「ロス・カプリチョス」からインスピレーションを得て、3つの物語それぞれに異なるテーマを込めています。特に、女性の人生における3つの段階（若さ、母性、老い）をテーマに、物語を構成しています。

製作

製作費は1,450万ドルで、ガローネの製作会社Archimede Film、フランスのLe Pact、イギリスのレコード・ピクチャー・カンパニーの共同製作で進められました。撮影は、イタリア各地の歴史的な場所で行われ、美しい風景が物語を彩っています。

評価

映画は、Rotten Tomatoesで82%、Metacriticで72/100という評価を得ており、その芸術性と物語性が高く評価されています。

『五日物語 -3つの王国と3人の女-』は、幻想的な世界観と、人間の心の奥底にある欲望や狂気を描いた、見ごたえのある作品です。観る者を深い世界に引き込む、ダークファンタジーの傑作と言えるでしょう。

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