五星

五星：古代から現代まで愛される五惑星

太陽系を構成する惑星の中で、水星、金星、火星、木星、土星の5つを「五星」と呼びます。これらの惑星は、肉眼でも容易に観測できる明るさを持つため、古代の人々にも広く知られていました。中国では、それぞれ木星を歳星、火星を熒惑、土星を鎮星、金星を太白、水星を辰星と呼び、まとめて「五緯」とも称していました。

地球を中心に宇宙が構成されていると考えた天動説では、地球を除く太陽系の内側6つの惑星のうち5つが五星に該当します。地球以外の惑星が新たに発見されたのは、天王星が発見された1781年以降のことです。

現代の天文学や占星術においては、五星は特別な位置付けを持つわけではありません。しかしながら、天体観測の趣味として、五星は依然として高い人気を誇っており、「五惑星」や「五大惑星」として言及されることも少なくありません。

興味深いことに、中国では五星は五行思想とも深く関わっています。五行思想とは、宇宙万物を木・火・土・金・水の五つの元素で説明する思想で、漢字文化圏（中国、日本、韓国、ベトナム）では、五星の各惑星にこれらの元素の名前を冠して呼びます。（ベトナム語では語順が異なります）。ただし、惑星に五行が当てはめられたのは、それぞれの惑星の運行や色、明るさといった観測可能な特徴から連想されたものであり、単純な順番関係ではありません。

さらに、五星に太陽と月を加えた七曜は、曜日の体系にも影響を与えています。特に、五星に対応する曜日の順番は、古代バビロニア文明に起源を持つ「カルディアンオーダー (chaldean order)」に基づいています。この七曜に、計都と羅睺を加えたものを九曜と呼びます。

このように、五星は古代の人々から現代の天文愛好家まで、長い歴史にわたり人々の関心を集め続けてきた天体です。肉眼でも観測可能なその存在感と、文化や思想に与えた影響は、天文学や占星術の歴史を考える上で重要な要素となっています。五星の観測は、古代の人々の宇宙観を理解する手がかりとなるだけでなく、現代においても天体観測の楽しさを提供してくれる存在なのです。今後も、五星は人々の好奇心を刺激し続け、宇宙への探求心を掻き立てることでしょう。

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