五月雨 (駆逐艦)

駆逐艦五月雨の概要

駆逐艦五月雨（さみだれ）は日本海軍に所属する白露型駆逐艦の6番艦であり、1934年12月に浦賀船渠で起工され、1937年1月に竣工しました。その艦名は後に海上自衛隊のむらさめ型護衛艦「さみだれ」にも受け継がれました。

太平洋戦争での活躍

五月雨は開戦当初、南方作戦に従事し、多くの戦闘に参加しました。1941年12月8日の太平洋戦争の開始時点で、白露型の姉妹艦である村雨、夕立、春雨と共に第2駆逐隊に編成され、第四水雷戦隊に所属しました。この部隊はフィリピン攻略戦や蘭印作戦、中でもバリクパパン沖海戦やスラバヤ沖海戦での戦闘に参加しています。

南方作戦が成功すると、五月雨はその後もミッドウェー作戦、インド洋での通商破壊作戦、そしてガダルカナル島の戦いにおいて、様々な任務をこなしました。ガダルカナル島への駆逐艦輸送作戦や、南太平洋海戦や第三次ソロモン海戦に参加し、戦果とともに多くの困難を経験しました。特に、第三次ソロモン海戦では、自艦に隙間に出た艦船への誤射や、姉妹艦夕立の沈没後の救助活動など、その活躍は多くの艦歴として語られています。

その後の運命

1943年4月、五月雨はガダルカナル島撤退作戦に参加し、その後北方部隊に編入されました。この時期に第一次キスカ島撤退作戦に従事しましたが、部署が変わりつつも、運用は続けられました。5月にはサイパンやパラオ諸島への船団護衛など、多様な任務をこなしました。

戦後期には再度ビアク島やコロンバンガラ地方への輸送作戦にも従事し、また護衛任務を果たし続けました。1944年6月には渾作戦やマリアナ沖海戦に参加し、敵との激しい交戦の中でも任務を遂行しましたが、連合艦隊の運用は次第に厳しさを増していきました。

沈没とその後

最終的に1944年8月10日、五月雨はパラオ近海のガルワングル環礁で座礁し、損傷を受けました。その後、アメリカ軍の潜水艦による攻撃を受け、爆沈の憂き目に遭いました。この時、艦長を含む生存者は別の艦に救助されましたが、五月雨はその後除籍されました。

艦長らの努力は戦後も語り継がれ、元乗組員による「五月雨会」が慰霊碑を建立し、艦の記憶を大切にしています。

機銃増強と残骸の現状

戦後の調査によると、五月雨は艦解体後まで残った部品もありましたが、沈没地点は現在潜水スポットとして人気があります。また、艦の最後の姿を追った海底調査も行われており、艦の主砲や部品は現在も確認されているとの報告があります。艦の姿は失われつつあるものの、その故事は今も生き続けています。

このように駆逐艦五月雨の歴史は、海軍の駆逐艦の中でも特に多くの戦果をあげ、また数々の激闘を生き抜いた艦として記憶されています。彼女の戦歴は、戦争の悲惨さと同時に、艦艇の英雄的な姿を伝えています。

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