五馬渡江

五馬渡江（ごばとこう）

五馬渡江とは、中国の西晋王朝が永嘉5年（311年）に永嘉の乱に見舞われ、王朝が滅亡した際に、五人の西晋の宗室の王侯が長江を渡り、建業（現在の南京）で東晋王朝を樹立した出来事を指します。

永嘉の乱と西晋の滅亡

永嘉の乱は、西晋王朝を大きく揺るがし、その滅亡の直接的な原因となりました。匈奴系の漢（後の前趙）が勢力を拡大し、西晋の愍帝を捕らえて殺害するという事態に発展。これにより、西晋王朝は事実上崩壊しました。

王朝の滅亡という未曽有の危機の中、司馬氏一族は江南へと逃れ、再起を図ります。その中心となったのが、以下の五人の王侯です。

五馬王（ごばおう）

五馬渡江の中心人物となった五人の王侯は、以下の通りです。

1. 琅邪王 司馬睿（ろうやおう しばえい）（景文）
後の東晋の元帝となる人物です。五馬渡江後、東晋王朝を打ち立て、その初代皇帝として即位しました。西晋復興の希望を担い、政治的、軍事的リーダーシップを発揮しました。
2. 西陽王 司馬羕（せいようおう しばよう）（延年）
汝南王司馬亮の子。
3. 南頓王 司馬宗（なんどんおう しばそう）（延祚）
汝南王司馬亮の子。
4. 汝南王 司馬祐（じょなんおう しばゆう）（永猷）
司馬亮の次男である司馬矩の子で、上記の二人（司馬羕、司馬宗）の甥にあたります。
5. 彭城王 司馬雄（ほうじょうおう しばゆう）
* 司馬懿の弟である司馬馗の玄孫。東海王司馬越の祖父にあたります。

これらの王侯たちは、それぞれの勢力を結集し、江南における基盤を確立しました。

東晋の成立と意義

五馬渡江を経て成立した東晋は、江南地方を拠点とし、以後約100年にわたり中国の一角を支配しました。東晋の成立は、中国の歴史において南北朝時代の幕開けを告げる出来事であり、江南地方の経済・文化発展の基礎を築いたという点で、非常に重要な意義を持っています。

五馬渡江は、滅亡の危機に瀕した王朝が、人々の努力によって再興された希望の象徴として、後世に語り継がれています。彼らの行動は、困難な状況においても諦めずに立ち向かう勇気を与えてくれます。

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