井上五郎

井上五郎（1899年8月16日 - 1981年11月18日）は、日本の実業家として、中部電力の発展に大きく貢献しました。彼は中部電力の初代社長を務め、その後の会長職においても、その卓越した経営手腕を発揮しました。また、中部経済連合会の会長としても、地域経済の発展に尽力しました。

井上五郎は、実業家・政治家であった井上角五郎の五男として、東京に生まれました。慶應義塾幼稚舎を経て東京帝国大学工学部を卒業後、東邦電力に入社しました。1951年、中部電力設立と同時に初代社長に就任し、会社を牽引しました。

特に、社長時代に推進した井川ダムの建設は、彼の功績を語る上で欠かせません。このダムは、施工を担当した間組の社長、神部満之助の提案により、井上五郎の名を冠して「井川五郎ダム」と名付けられました。このエピソードは、彼のリーダーシップと人柄を示す象徴的な出来事と言えるでしょう。

1959年には大同製鉄（現・大同特殊鋼）の監査役に就任し、その後も、大同学園（大同大学）理事、中部経済連合会会長、電気学会会長、日本電気協会会長、日本動力協会会長、名古屋鉄道監査役、中部日本放送株式会社監査役、日本気象協会会長、原子力委員会委員長代理など、数々の要職を歴任しました。

井上五郎の業績は、単に企業経営に留まらず、日本の経済界、学術界、そして社会全体に及んでいます。彼のリーダーシップと先見の明は、多くの人々に影響を与え、現代社会の発展に大きく貢献しました。

彼の家族もまた、各方面で活躍しており、長男の井上琢郎は東京熱エネルギーの社長を務め、次男の井上和衛は昭和電工に勤務しました。また、三男の一万田安城は、岳父に日銀総裁の一万田尚登を持つなど、親族も社会的に活躍しています。長女の安藤和子は、大分銀行頭取・安藤昭三の妻であり、二女のシャーウィン裕子は作家として活動しています。また、二女のマコ・ヨシカワは小説家として知られ、三女の諸戸愛子は諸戸林業社長・諸戸正和の妻となっています。

井上五郎の功績は、その業績を称え、1969年に勲一等瑞宝章、1979年には勲一等旭日大綬章を受章しました。これらの勲章は、彼の社会への貢献を公的に認められた証と言えるでしょう。1981年、彼は82歳でその生涯を閉じましたが、彼の名前と業績は、今日においても広く記憶されています。

井上五郎の生涯は、日本の高度経済成長期を支えた実業家の模範として、今後も語り継がれていくことでしょう。彼のリーダーシップ、経営手腕、そして社会貢献への情熱は、現代社会においても大いに参考になるものです。

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