井上時利

井上時利の生涯

井上時利（いのうえ ときとし）は、戦国時代後期から江戸時代初期にかけて活動した武将であり、美濃国田畑城の城主でした。彼は長井道利の三男として生まれ、若いころから戦場での武勇を示し、さまざまな主君に仕官しました。

初期の仕官と主君の変遷

最初に仕官したのは織田信長でした。信長のもとで彼は武士としての基盤を築き、戦闘においてその才能を発揮しました。しかし、信長が亡くなった後は、豊臣秀吉に仕官を変え、さらにその下での地位を強化しました。慶長4年（1599年）には美濃と河内の2国から760石の知行を受け、当時としては相応の実績を残していました。

関ヶ原の戦いとその後

しかし、運命は彼に厳しかった。慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、彼は織田秀信が西軍に参加したことに従い、その後の戦で敗れ、徳川家康によって改易されることになります。この出来事により、井上時利は浪人生活を余儀なくされました。

大坂の陣への参加

その後、井上時利は再び戦場に身を投じます。慶長19年（1614年）に勃発した大坂冬の陣では、豊臣方に側近として参加し、幕府軍の備えがある谷町口に配置されました。その後の慶長20年（1615年）5月6日、大坂夏の陣では、薄田兼相と共に大坂城へ進軍し、徳川方の秋山右近を討ち取ったとされています。しかし、幕府軍の激しい攻撃に遭い、道明寺の戦いで討死してしまいます。この戦において享年は50歳でした。

討死の背景と意義

時利の討死をめぐっては諸説あり、例えば『徳川実紀』では、菅沼定芳によって彼は討たれたと記されています。また、秋山右近も同じ戦で討死したという情報があり、彼が実際に秋山右近を討取ったかどうかは定かではありません。

時利の人間関係とその影響

井上時利は織田有楽斎と親しい関係にあり、そのため有楽斎を介して崇源院に取りなしが行われました。この結果、彼の子・利中は後に罪を免れ、江戸幕府2代将軍・秀忠に仕官することとなります。更には、紫衣事件で処罰された玉室宗珀は、幼少期に時利の弟として育てられたとも伝えられています。

このように、井上時利の人生は戦国時代という激動の時代を背景に、その時々の主君や仲間との関係を中心に展開していきました。彼の武士としての生きざまやその死は、今なお語り継がれる歴史の一部として評価されています。

もう一度検索