井上正経

井上正経（いのうえ まさつね）は、江戸時代中期に活躍した大名であり、老中を務めた人物です。常陸国笠間藩主、陸奥国磐城平藩主、そして遠江国浜松藩の初代藩主として、その名を歴史に刻んでいます。浜松藩井上家6代目にあたります。

生涯

井上正経は、井上家5代当主・正之の長男として生まれました。元文2年（1737年）に父の跡を継ぎ、家督を相続しました。その後の彼の人生は、幕府の要職を歴任しながら、領地を転々とする激動の連続でした。

延享4年（1747年）には、日向国延岡藩主であった牧野貞通が幕閣で出世したため、江戸に近い常陸国笠間藩へと転封となりました。この際、笠間藩主であった正経は、代わりに陸奥国磐城平藩へと移され、さらに磐城平藩主であった内藤政樹は、御家騒動や領内の百姓一揆の責任を問われ、延岡藩へと転封されるという、いわゆる「三方領知替え」が行われました。

宝暦2年（1752年）8月には奏者番に任命され、翌年には寺社奉行を兼任、宝暦6年（1756年）には大坂城代へと昇進しました。この際、領地の一部が近畿方面に移されています。宝暦8年（1758年）には京都所司代に任命され、侍従も兼任、同年12月には遠江国浜松へと転封されました。

宝暦10年（1760年）には、幕府の最高職である老中に就任しましたが、宝暦13年（1763年）3月には辞任しました。

明和3年（1766年）に42歳でこの世を去り、家督は次男の正定が継ぎました。また、四男の正棠は、常陸下妻藩主の井上正意の跡を継いでいます。

経歴

1725年（享保10年）：誕生
1737年（元文2年）：将軍家初見、家督相続
1747年（延享4年）：磐城平に国替え
1752年（宝暦2年）：奏者番
1753年（宝暦3年）：寺社奉行（3月28日）
1756年（宝暦6年）：大坂城代（5月7日）
1758年（宝暦8年）：京都所司代、浜松に国替え
1760年（宝暦10年）：老中（12月3日）
1763年（宝暦13年）：老中辞任（3月13日）
1766年（明和3年）：死去、享年42

官歴

1739年（元文4年）：従五位下、河内守
1756年（宝暦6年）：従四位下
1758年（宝暦8年）：侍従
1763年（宝暦13年）：大和守

系譜

父母
井上正之（父）
稲葉氏 ー 側室（母）

正室
仙石町子 ー 仙石政房の娘

子女
井上正定（次男）生母は町子（正室）
井上正方（三男）
井上正棠（四男）
暉姫 ー 松平信明正室

養女
大岡忠喜正室 ー 本多忠強の娘

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