内藤政樹

内藤政樹について

内藤政樹（ないとう まさき）は、江戸時代中期の著名な大名であり、陸奥国磐城平藩の第6代藩主および日向国延岡藩の初代藩主としてその名を知られています。官職は従五位下・備後守に任ぜられ、延岡藩内藤家の宗家を6代にわたって継承しました。

生涯の背景

内藤政樹は、内藤義英（露沾）の長男として誕生しました。義英は、祖父である内藤義概から廃嫡されたため、政樹が生まれた時には江戸で隠居生活を送っていました。しかし、享保3年（1718年）に、先代の藩主内藤義稠が22歳の若さで名跡を残さずに亡くなったため、幼い政樹が後を継ぐこととなりました。彼が若年であったため、父義英が藩政を事実上後見することになりました。

新藩主としての政樹は、翌年正月に松賀族之助とその息子である松賀孝興から饅頭の贈り物を受けましたが、義英はこれを警戒し、饅頭を犬に食べさせてみたところ、犬が急死してしまいました。この出来事から、政樹への毒殺の企みがあったことが明らかとなり、義英は松賀一派を厳しく取り締まりました。

小姓騒動とその後

小姓騒動と呼ばれるこの政治的混乱は、藩内での権力闘争を引き起こしましたが、義英の手腕により鎮圧されました。彼は主犯である孝興を投獄し、その後獄死させ、族之助等を永蟄居にしたため、藩内の秩序を取り戻しました。義英が詩句の世界に戻ると、政樹は藩主として親政を実現するようになりました。

元文百姓一揆

内藤政樹の治世の初めの頃、磐城平藩では以前の小姓騒動の影響や、松賀一派による悪政、さらには洪水や凶作といった自然災害によって、領民の不満が高まり、藩の財政は困難な状況に陥りました。このような背景から、元文3年（1738年）9月に「元文百姓一揆」と呼ばれる大規模な一揆が発生しました。この一揆には2万人以上が参加し、町役所や役宅を襲撃しました。

一揆の指導者28人を捕らえ、その中の7人を処刑するなど、政樹をはじめとする藩側は強硬な姿勢を示しました。しかし、この一揆の結果、延享4年（1747年）に日向国延岡への転封が命じられます。磐城平から延岡という長距離の転封は、江戸時代における大名の中でも特異なものでした。

晩年と死

延岡藩の初代藩主として、政樹は土地に定着した後、宝暦6年（1756年）に養子の政陽に家督を譲り、隠居生活に入りました。彼は明和3年（1766年）に生涯を終えるまで、長きにわたり地元の発展に寄与したことで知られています。

系譜

内藤政樹の系譜には、実父の内藤義英、養父の内藤義稠が名を連ねており、長男である内藤政尭の他、内藤政陽（内藤政里の次男）を養子に迎えています。彼の家族背景は、延岡藩の歴史に重要な影響を与えました。

関連文化

内藤政樹は、2014年の映画『超高速!参勤交代』に登場し、甲本雅裕がその役を演じています。この作品を通じて、彼の歴史的な側面に触れることができます。

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