井上進 (東洋史研究者)

井上進（いのうえ すすむ）は、1955年生まれの日本の東洋史学者であり、名古屋大学文学部教授として教鞭を執っています。彼の研究分野は、明清時代の学術と思想、そして宋代から清代に至る中国の出版文化史に及びます。

生い立ちと学歴

1955年に生まれた井上進は、1976年に京都大学文学部に入学し、東洋史学を専攻しました。1980年に同大学を卒業後、1年間の聴講生期間を経て、京都大学大学院文学研究科東洋史学専攻に進学。1983年には修士課程を修了しています。その後、博士課程に進みましたが、1983年10月から北京大学哲学系に留学。翌年1984年6月に帰国し、博士課程を退学しました。

東洋史研究者としてのキャリア

1984年7月、井上進は京都大学人文科学研究所東方部の助手として研究者のキャリアをスタートさせました。1991年には三重大学人文学部助教授に就任し、その後1996年に名古屋大学文学部助教授に転任。1998年には教授に昇格し、現在に至ります。長年にわたり、東洋史研究、特に中国の歴史と文化の研究に貢献しています。

受賞歴

1991年には、その学術的な業績が認められ、第10回東方学会賞を受賞しました。

研究内容と業績

井上進の専門は、東洋史の中でも特に明清時代の学術・思想です。また、宋代から清代にかけての出版文化に関する研究も精力的に行っており、その分野での著作も多数あります。出版文化史の研究は、当時の社会や文化、思想を深く理解する上で不可欠であり、井上進の研究は学術界において重要な位置を占めています。

家族

井上進の父は、歴史家であり京都大学名誉教授の井上清です。

主な著作

単著

『顧炎武』(中国歴史人物選 10) 白帝社 1994
『中国出版文化史：書物世界と知の風景』名古屋大学出版会 2002
韓国語訳版：イ・ドンチョル(李等哲)ほか3名共訳、ミウンサ(民音社) 2013
中国語訳版：李俄憲訳、華中師範大学出版社 2015
『書林の眺望：伝統中国の書物世界』平凡社 2006
『明清学術変遷史：出版と伝統学術の臨界点』平凡社 2011

共著書

『明史選挙志：明代の学校・科挙・任官制度』(全2巻) 酒井恵子共訳注、平凡社東洋文庫 2013-2019
『三重県公蔵漢籍目録』三重県図書館協会 1996

目録、補注

『金沢市立玉川図書館近世史料館蔵漢籍目録』浅野純一と共著、金沢市立玉川図書館 2004
『中国における近代思惟の挫折』(全2巻) 島田虔次著、井上補注、平凡社東洋文庫 2003
『増補 明代詩文』入矢義高著、井上補注、平凡社東洋文庫 2007

これらの著作からも、井上進の研究が多岐にわたり、中国の歴史や文化に対する深い造詣を持っていることが伺えます。彼の研究は、東洋史学の発展に大きく貢献しており、今後もその活動が注目されます。

参考

名古屋大学'>井上進教授 略歴・業績PDF
名古屋大学'>名古屋大学東洋史学研究室
CiNii著作

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