井上頼圀

井上頼圀：国学の巨星

井上頼圀（いのうえ よりくに）は、天保10年2月18日（新暦1839年4月1日）に江戸・神田松下町で生まれた国学者です。彼の幼名は次郎で、通称は肥後や鉄直、また号として伯随や厚載を持ちます。頼圀は和歌や古典文学への深い造詣を持ち、国学の大成に尽力しました。

教育と学問の道

彼は幼少期より学問に励み、和歌を相川景見に、国学は平田銕胤、さらに日本古暦道を権田直助に学びました。明治維新後、国の教育機関に関わる機会を得て、文部省や宮内省に出仕しました。また、私塾神習舎を設立し、後進の育成に尽力しました。

明治15年（1882年）には松野勇雄らと共に皇典講究所を設立し、これは後に國學院として知られるようになります。翌年には矢野玄道に師事し、六国史の校訂を依頼されるなど、その学問の幅を広げていきました。頼圀は國學院で教授として教壇に立ち、女子学習院でも教鞭を執りました。さらには古事類苑の校閲員としても活動し、学問の普及に貢献しました。

1905年、彼は東京帝国大学より文学博士の称号を得て、その学問的な評価が確立しました。大正元年（1912年）には六国史校訂材料の取調主任に就任し、国学の発展に精力的に取り組みました。

最期と影響

井上頼圀は大正3年（1914年）7月4日に腎臓炎と尿毒症のために84歳で亡くなりました。彼の墓所は青山霊園にあります。孫には音楽家の井上頼豊がいます。頼圀の生涯は、日本の国学の発展と教育の場において多大な影響を与えました。

彼の著作

頼圀が残した著作は多岐にわたります。1898年には大槻如電と共に『新撰東西年表』を編纂し、さらに1999年には井上頼文・吉岡頼教と協力して『己亥叢説』を出版しました。また、1907年には高山昇・菟田茂丸と共に『難訓辞典』を啓成社から発刊し、国語学や古典研究の範疇での貢献も見逃せません。

続いて、『教育勅語模範講話』や『古事記考』などの重要な著書もあり、1911年には『国漢新辞典』や『現代文章宝典』を発表しました。特に『校定古事記』や『謡曲二百番謡ひ鑑』などが評価され、彼の知識の深さと幅広さが伺えます。

最期の著作としては、1924年に第22版が出された『最新書翰文』があり、その後、1934年には『己亥叢説 続』が神習会から出版されました。井上頼圀の業績は、今なお研究の対象となり、多くの後進に受け継がれています。

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