井倉駅

井倉駅：伯備線の峡谷に佇む歴史の駅

岡山県新見市井倉にある井倉駅は、西日本旅客鉄道（JR西日本）伯備線沿線に位置する駅です。駅番号はJR-V16。1928年10月25日、伯備線全通と同時に開業しましたが、備中川面駅～井倉駅～上石見駅間の列車運行開始は同年11月25日からでした。開業以来、地域の交通を支えてきた歴史ある駅です。

開業から現在までの変遷

開業当初から多くの利用客で賑わった井倉駅ですが、時代の流れとともに変化を遂げてきました。1982年には特急「やくも」の停車駅となり、さらに利便性が高まりましたが、2006年のダイヤ改正で特急停車は廃止されました。1984年には荷物扱い、1986年には貨物取扱が廃止され、無人駅となりました。2022年4月1日には簡易委託も終了し、現在は終日無人駅として運営されています。一方で、2021年3月13日からはICOCAが利用可能となり、利用者の利便性向上に貢献しています。

駅舎と設備

井倉駅は単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線、合計2面3線の地上駅です。新見方複線・倉敷方単線の交換が可能な構造で、高梁川が蛇行する井倉峡の底に位置し、駅自体もカーブを描いているのが特徴的です。駅舎からホームへは地下道を通って階段を登る形になっており、独特の雰囲気を醸し出しています。

駅舎は新見市観光協会観光案内所を兼ねており、2022年3月までは簡易委託による出札業務も行われていました。簡易委託終了に伴い、JR西日本が設置していた駅スタンプは撤去されましたが、香川県在住の鉄道写真家から寄贈された新しい駅スタンプが設置されています。自動券売機や自動改札機は設置されていませんが、ICOCAが利用可能です。

のりばは、上り本線が1番のりば、下り本線が3番のりばとなっています。2番のりばは上下共用の待避線で、上り列車の一部が特急通過待ちなどに使用される他、臨時列車や貨物列車なども停車します。2007年8月現在、定期旅客列車での2番のりば発着は行われていません。かつては駅舎寄り下りホームを1番のりばとしていましたが、2019年3月16日のダイヤ改正で上りホーム側を1番のりばとするように変更されました。

利用状況と周辺環境

井倉駅周辺は、高梁川沿いの集落が広がっています。観光地としても知られ、有名な観光スポットである井倉洞は駅からバスで約20分です。その他、羅生門、新見市井倉市民センター、井倉郵便局などが近隣にあり、生活拠点としての機能も備えています。交通系ICカードのチャージも井倉郵便局で可能です。国道180号や岡山県道198号井倉停車場線が駅周辺を通っています。隣の駅は、伯備線の上り方面が方谷駅、下り方面が石蟹駅です。

まとめ

井倉駅は、歴史と自然豊かな場所に位置する、魅力あふれる駅です。無人駅となった現在でも、ICOCAの利用が可能で、観光客や地元住民の足として重要な役割を担っています。峡谷の景観と歴史を感じさせる駅舎、そして周辺の観光地との連携など、井倉駅はこれからも地域のシンボルとして存在し続けるでしょう。

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