井沢ひろし

井沢ひろし（いざわ ひろし）は、1968年1月8日生まれの日本のライター、漫画原作者です。本名は井澤 寛（読みは同じ）。多岐にわたる分野で活動し、雑誌の構成などを担当する際には「井沢どんすけ」や「ハルソラ」といった名義を用いることもあります。

彼のキャリアは、学生時代に遡ります。『週刊少年ジャンプ』で絶大な人気を誇った読者投稿コーナー『ジャンプ放送局』に「どんちゃん」のペンネームで投稿を続け、熱狂的な常連として知られるようになりました。その投稿センスは際立っており、投稿者の中から選ばれる9代目のチャンピオンに見事輝きました。当時の『ジャンプ放送局』の構成を務めていたフリーライター、さくまあきら氏は、井沢氏の登場とその後の快進撃を「彗星のように現れて9代目チャンプになった」と振り返っています。

『ジャンプ放送局』での成功がきっかけとなり、井沢氏はプロのライターを志し、さくまあきらに弟子入りします。同コーナーのアシスタント経験を経て、編集プロダクション『キャラメル・ママ』に所属し、ライターとしてのキャリアを本格的にスタートさせました。『ジャンプ放送局』が終了した後も、彼は『週刊少年ジャンプ』の読者投稿コーナーの構成担当という重要な役割を引き継ぎます。1997年から始まった『ハガキ戦士ジャンプ団』を皮切りに、『じゃんぷる』、『ジャンプ魂』、『ジャン魂G!』といったコーナーを、足掛け20年近くにわたる2016年まで担当し続けました。この長期間にわたる活動は、多くのジャンプ読者にとって親しみ深いものとなり、これらの構成担当時には主に「井沢どんすけ」名義が用いられました。

フリーランスとしての活動期間を経て、井沢氏は2014年9月9日に自身の会社である『株式会社ハルソラ』を設立しました。この会社は井沢氏一人で運営されており、設立以降、雑誌の構成などに携わる際の活動名義を「ハルソラ」に一本化しています。

私生活では、2011年1月8日に以前より交際していた女性と入籍しました。同年夏には、軽井沢での挙式と代官山での披露宴を執り行っています。

井沢氏はかつて、師匠であるさくまあきらと公私にわたる非常に親密な関係を築いていました。この関係性はゲーム制作にも及び、ハドソンから発売された国民的ボードゲーム『桃太郎電鉄』シリーズや、『桃太郎伝説』シリーズの制作に深く関与しています。『桃太郎電鉄』シリーズでは、企画やシナリオといった中核部分を手掛け、その面白さの土台を支えました。さくまあきらは、自身の新作ゲームが完成すると、必ず井沢氏をテストプレイヤーとして指名したといいます。さくま氏は井沢氏のゲーム評価能力を絶賛しており、「私さくまあきらが決定したチューニングを、覆すことができる唯一の男」とまで評しました。また、井沢氏が持つゲームに対する妥協なき姿勢を示唆するエピソードとして、「どんちゃん（井沢氏の愛称）は、ゲームが面白かったら何時間でもぶっ通しでテストプレイを続けるが、つまらないと判断したらコントローラを置いてさっさと帰ってしまう、恐怖の大魔王。」とユーモラスに語っています。

彼のクリエイティブな活動範囲は非常に広く、漫画原作、アニメ脚本、ゲームシナリオなど、多岐にわたる作品にその名を刻んでいます。主な作品は以下の通りです。

マンガ原作:
C'mon デジモン
それ行けダンジョン!チョコボ&モーグリ
デジモンアドベンチャー Vテイマー01
時空冒険ヌウマモンジャー
ファイアーエムブレム 覇者の剣
ETOILE -三銃士星羅-
桃太郎電鉄 お国じまんメッケたび
変身忍者嵐 SHADOW STORM
ひみつのアッコちゃんμ

アニメ脚本:
CoCO&NiCO
タマ&フレンズ うちのタマ知りませんか?
うさぎのマシュー
タマ＆フレンズ　タマとふしぎな石像（映画）
デジモンゴーストゲーム（企画協力）

構成・原稿担当:
きくちゃんどんちゃんごきげんファミコン
ハガキ戦士 ジャンプ団（週刊少年ジャンプ）
じゃんぷる（週刊少年ジャンプ）
ジャンプ魂（週刊少年ジャンプ）
ジャン魂G!（週刊少年ジャンプ）
バトよん!!!!（週刊少年ジャンプ）

ゲーム制作:
天外魔境 ZIRIA（シナリオ）
天外魔境II 卍MARU（シナリオ）
桃太郎伝説シリーズ
桃太郎電鉄シリーズ（企画・シナリオ）
フルーツトラベラーズ（シナリオ）
ビリオンロード（世界観およびキャラクター設定）

井沢ひろし氏は、『ジャンプ放送局』という特別な場所からキャリアをスタートさせ、ライターとして、そして様々なクリエイティブ分野で才能を発揮し続けています。特に長年にわたる週刊少年ジャンプの読者コーナーの構成や、『桃太郎電鉄』シリーズへの貢献は、多くの人々の記憶に残るものと言えるでしょう。

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