桃太郎伝説

『桃太郎伝説』は、ハドソンから発売されたコンピュータRPGです。略称は「桃伝」（ももでん）として親しまれています。1987年にファミリーコンピュータ（FC）用ソフトとして登場し、翌年にはX68000版も発売されました。その後、リメイク版としてPCエンジン用ソフト『桃太郎伝説ターボ』や、携帯電話ゲーム『桃太郎伝説モバイル』も展開されました。

概要

本作は、ハドソンがFC市場で展開していた「マル超シリーズ」の第3弾として発売された、同社初のRPGです。監督はさくまあきら氏が務め、土居孝幸氏がイラストを、サザンオールスターズの関口和之氏が音楽を手掛けています。

物語は、桃太郎がお供のイヌ、サル、キジと共に鬼ヶ島の鬼を退治するという、おとぎ話『桃太郎』をベースにしています。さらに、『花咲かじいさん』『金太郎』『浦島太郎』といった他の日本の昔話の登場人物やエピソードも盛り込まれ、独特の世界観を構築しています。

ゲーム内の用語も舞台設定に合わせて和風にアレンジされており、「レベル」は「段」、「経験値」は「心」、「HP」は「体」、「MP」は「技」、「魔法」は「術」、通貨は「両」と表現されます。戦闘で相手を倒すことは「こらしめる」と表現され、主人公たちは敵の命を奪うことはありません。敵である鬼も人間を傷つけたり殺したりするような行為は行わず、昔話のように生死の表現を避けているのが特徴です。

FC版のパッケージには「コミカルRPG」と記載されている通り、ギャグ要素が満載で、芸能人や当時の時事ネタをパロディにしたものが多く含まれています。さくま氏によれば、当初は『ドラゴンクエスト』のパロディ版を意図していたものの、著作権の問題や作品の独自性から露骨なパロディは削られたとのことです。

PlayStationとWindows向けに発売された同名シリーズ作品は、ストーリーの根幹は本作をベースにしつつ、後続シリーズのキャラクターや要素を取り入れたリブート作品であり、内容は異なっています。

特徴的なシステム

桃太郎の年齢：ゲーム内で時間が経過すると桃太郎の年齢が上がり、2時間ごとに1歳年を取ります。年齢に応じてグラフィックが変化しますが、能力値に影響はありません。ただし、8歳以下だと特定の場所に入ることができます。
術：攻撃や回復など8種類の術があり、各地の仙人の修行をクリアすることで習得できます。
お供：イヌ、サル、キジにきびだんごを与えると仲間にでき、桃太郎の攻撃力と防御力が上昇します。
戦闘システム：
敵は正面を向いた状態で表示されるフロントビュー形式。
基本的に1対1の戦闘で、敵は1体ずつ出現します。
桃太郎が常に先制攻撃を行います（ただし、エンカウント直後に敵から先制攻撃を受ける場合もあります）。
イヌ、サル、キジはNPCとして自動で戦闘に参加します。これはRPGでAIが導入された初の例とされています。
お供は敵の攻撃を受けず、体力やレベルの概念もありません。
体力が低下すると攻撃力も低下します。
レベルアップ時に体力と技が全回復します。
ユニークな敵キャラクター：
びんぼうがみ：毎ターンお金を盗みます。
ふくのかみ：クイズに正解するとお金をくれます。
ユキだるま：斉藤由貴をモデルにした雪だるまで、攻撃はせず、質問に答えるとアイテムがもらえることがあります。
せきひん：持ち金の一部を盗むことがあります。
セーブ方式：パスワード方式で、パスワードは「天の声」と呼ばれ、神社の神主から聞けます。
施設：村や都には神社、質屋、宿屋、茶店、兵具店、易者の家、といちやなどがあります。

物語

おじいさんとおばあさんが暮らす場所に、桃から生まれた桃太郎は、鬼を退治するために鬼ヶ島へ旅立ちます。おばあさんからきびだんごを、おじいさんから激励の言葉を受け、イヌ、サル、キジをお供に冒険へと出発します。

登場人物

桃太郎：主人公。
おじいさん / おばあさん：桃太郎の育ての親。
イヌ / サル / キジ：桃太郎のお供。
花咲かじいさん / 金太郎 / 浦島太郎：鬼にさらわれた人々。
寝太郎：橋の上で眠る若者。
吉四六：北国の敵に有効な武器をくれる人物。
銀次：桃太郎の宝物を盗むスリ。
乙姫：竜宮城にいる姫。
かぐや姫：宝の出現を待つ女性。
地蔵：各地にいる像で、助言をくれます。
閻魔大王：鬼ヶ島の鬼の首領。

世界

世界地図に似た形状で、おとぎ話をモチーフにした地名が登場します。

花と木の国
冬と星の国
ほほえみの大地
希望と絶望の国
愛と勇気の国
鬼ヶ島
月

リメイク版

PCエンジン用ソフト『桃太郎伝説ターボ』や携帯電話ゲーム『桃太郎伝説モバイル』が発売されました。

桃太郎伝説ターボ

グラフィックやBGMが向上し、セーブ機能や新たな要素が追加されました。

桃太郎伝説モバイル

グラフィックが描き直され、新たな敵やカード収集要素が追加されました。

スタッフ

ゲーム・デザイン：さくまあきら
キャラクター・デザイン：土居孝幸
音楽：関口和之

評価

各ゲーム誌で高い評価を受け、人気を博しました。

書籍

攻略本やゲームブックが多数出版されています。

関連項目

桃太郎電鉄シリーズ
* 桃太郎活劇・桃太郎電劇・桃太郎電劇2

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