井門グループ

井門グループ：月賦百貨店から不動産事業へ進化した異色の企業グループ

井門グループは、リテールと不動産を事業の柱とする企業グループです。その歴史は、1922年、井門富士逸氏によって東京・品川で創業された「大丸商会」に遡ります。当初は首都圏を中心に15店舗を展開し、従業員数2000人を超える規模に成長した月賦百貨店「大丸百貨店」は、大阪の大丸百貨店とは異なる独自のブランドとして確立されました。

しかし、大阪の大丸との名称紛らわしさを避けるため、井門の大丸は「大丸百貨店」と称し、独自の二重丸ロゴと「ライフアップ」というキャッチコピーを用いた広告展開を行いました。1960年代には、テレビ東京の前身である東京12チャンネルの番組スポンサーとなり、CMにケーシー高峰を起用するなど、積極的な宣伝活動も展開していました。

しかし、1970年代以降は、ダイエーなどのGMS（総合スーパー）の台頭や、耐久消費財の価格競争激化により業績が低迷。同業他社が大型小売チェーンに買収される中、井門グループは専門店化戦略を採り、家電量販店のラオックスとのフランチャイズ契約や、紳士服チェーンとの提携などを経て、事業転換を図りました。

1983年には社名を「井門エンタープライズ」に変更。ラオックスとの提携では、当初は全店舗をラオックスへ転換する計画でしたが、店舗規模の大きさから、家具専門店「インテリア井門」や宝飾品専門店「ジュエリー井門」などを併設する形態へと変更されました。その後、ラオックスとの関係は解消され、井門グループは独自路線を歩むことになります。

2000年代に入ると、ビックカメラやユニクロなどの新興専門店チェーンの台頭により、リテール事業は低迷。ラオックスとの提携店舗や、紳士服チェーンとの提携店舗なども順次閉鎖され、現在はリテール事業は縮小し、鉄道模型店「Models IMON」など、ニッチな市場に特化した小規模な店舗運営にとどまっています。

一方、井門グループは長年培ってきた不動産活用ノウハウを活かし、不動産事業をグループの中核事業へと転換しました。全国主要都市に保有するビルを、大手企業などに賃貸するビジネスモデルを確立し、大きな成功を収めています。

現在、井門グループは、不動産事業を基盤に、レストランやボウリング場運営などの関連事業、そして創業家の趣味でもある鉄道模型事業を展開するなど、多角化を進めています。かつての月賦百貨店から、不動産を中核とした現在の姿へと、その経営戦略は常に時代の変化に適応してきたと言えるでしょう。

グループ企業

井門グループには、不動産賃貸運営を行う企業や、飲食、出版など多様な子会社が存在します。その中には、社会福祉法人や奨学財団も含まれており、幅広い社会貢献活動にも取り組んでいます。

主要な事業内容

不動産賃貸事業：全国主要都市のビルを保有し、大手企業などに賃貸。
リテール事業：鉄道模型店「Models IMON」、宝飾品店「ジュエリー井門」などを運営。
* その他：レストラン運営、ボウリング場運営など。

井門グループの歴史と事業変遷は、時代の変化に対応し、柔軟に事業構造を変化させてきた企業の生き様を象徴しています。

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