亜硝酸ナトリウム

亜硝酸ナトリウムについて

亜硝酸ナトリウム（あしょうさんナトリウム）は、化学式NaNO2で表されるナトリウムの亜硝酸塩です。一般に「亜硝酸ソーダ」とも呼ばれ、多くの用途に用いられる重要な化合物です。工業的には亜硝酸塩類として取り扱われ、特に食品添加物や試薬として使用されます。日本では、毒物及び劇物取締法により劇物として指定されており、消防法では危険物第一類に属しています。

特徴

亜硝酸ナトリウムは、白または黄色の結晶性の物質で、通常は粉末、棒状、または粒状で販売されています。この物質は非常に吸湿性が高く、水に溶けやすい特性を持ちます。水溶液はアルカリ性であり、アルコールやエーテルに対しては微溶解性を示します。また、酸と反応することで三酸化二窒素を生成します。

特性と用途

亜硝酸ナトリウムは、強誘電体の一種としても知られ、さまざまな用途に利用されています。金属の表面処理や発泡剤、熱処理剤として利用されることが多いです。また、漂白剤やアゾ染料の製造にも使用され、ニトロ化合物や酸化窒素の生成においても役立ちます。さらに、防錆剤としてコンクリート中の鉄筋の腐食を防ぐ役割や、医療器具の消毒においては中水準の消毒剤として多くのウイルスや細菌を不活性化するのに使われます。特に青酸中毒の解毒剤としても利用されることがあります。

取り扱い上の注意

亜硝酸ナトリウムは可燃物と混ざると容易に発火する危険があります。特にアンモニウム塩類やシアン化合物との混合は爆発の危険性も伴います。そのため、発火した際には水を使用して消火する必要があります。

廃棄する場合は、スルファミン酸溶液中に少しずつ加えて分解したり、塩化アンモニウムを加えることで安全に処理します。

急性毒性

この物質は劇物であり、致死量は約2グラムと言われています。高濃度の溶液を摂取すると、中毒症状が現れます。これには頭痛、吐き気、チアノーゼ、意識障害、痙攣などが含まれます。皮膚接触による刺激は比較的弱いですが、飲み込んだ場合の応急処置として生の鶏卵や牛乳を飲ませ、嘔吐を促すことが推奨されています。また、目や皮膚に付着した場合は、しっかりと洗い流すことが重要です。

食品添加物としての評価

日本において、亜硝酸ナトリウムは加工肉に対して使用されます。これは主にボツリヌス菌や病原性大腸菌の毒素の増殖を防ぐために用いられています。この添加物は加工肉の発色を改善し、味わいを深める役割も果たします。また、内閣府食品安全委員会の評価書では、この物質とソルビン酸が同時に使用される場合の影響についても議論されています。

IARCの報告

2015年には、WHOのIARCが加工肉の摂取といくつかのがんとの関連を調査しました。それに基づき、加工肉の摂取が大腸がんを引き起こすという証拠により、「発がん性がある」としてグループ1に分類されました。特に毎日50g以上の加工肉を摂取することで、大腸がんのリスクが18%上昇するとされています。

食品への添加基準

国際的な評価では、亜硝酸ナトリウムの一日摂取許容量（ADI）は0.07mg/kg bwとされており、日本でも同様の基準が設けられています。加工肉においては、具体的に使用される基準量が規定されています。

合成

この物質は、工業的には、一酸化窒素と二酸化窒素を炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウムに吸収させることで合成されることが多いです。加えて、実験室では硝酸ナトリウムと鉛を反応させる方法でも作成されます。

このように亜硝酸ナトリウムは多くの分野で利用される重要な物質ですが、取り扱いには十分な注意が必要です。

もう一度検索