亜鉛欠乏症

亜鉛欠乏症とは

亜鉛欠乏症は、体内の亜鉛が不足することにより引き起こされる栄養障害です。日本では亜鉛不足が一般的に見られるため、特に注意が必要です。診断は「亜鉛欠乏の臨床症状」と「血清亜鉛値」を基に行われ、血清亜鉛値が60μg/dL未満の場合には亜鉛欠乏症とされます。主な症状には味覚障害や貧血、皮膚炎、脱毛症、褥瘡、食欲低下、発育障害などがあります。

亜鉛の重要性

亜鉛は、DNA合成に関与する酵素や細胞機能に必要不可欠な微量ミネラルです。このため、亜鉛が不足すると様々な生理機能が損なわれ、特に細胞が活発に分裂する成長期の子供や、ストレスや運動にさらされる成人にはリスクが高まります。

亜鉛欠乏の症状

味覚障害

亜鉛は舌の細胞に多く含まれており、その不足により味覚が鈍ることがあります。日本では、味覚障害の患者数が増加しており、高齢者は特に注意が必要です。

貧血

亜鉛欠乏が進むと、赤芽球の形成にも影響が出て、貧血を引き起こす可能性があります。亜鉛欠乏性貧血においては、赤血球数が減少し、TIBCが低下します。

発育障害

小児では、亜鉛不足が成長に悪影響を及ぼし、低身長を引き起こすことがあります。成長ホルモンの分泌にも関与しているため、発育に大きな影響を与えます。

皮膚炎と脱毛

亜鉛は皮膚や毛髪の健康にも寄与します。その不足は皮膚や髪の健康を損ね、炎症や脱毛を引き起こすおそれがあります。特に脱毛は機械的刺激を受ける部位に多く見られます。

性腺機能不全

膜の発達にも亜鉛が必要で、その不足は男性のテストステロン合成や精子形成にマイナスの影響を及ぼします。また、女性においても妊娠の障害にかかわることがあります。

食欲低下や下痢

消化機能にも亜鉛が重要で、亜鉛が不足すると食欲が減退し、さらには下痢を引き起こすこともあります。

亜鉛欠乏の診断

診断は、臨床症状と血清亜鉛値の測定によって行われます。特に、早朝の空腹時に測定することが推奨されており、血清亜鉛値が60μg/dL未満であれば診断されます。

亜鉛欠乏症の治療

亜鉛欠乏症の治療には、食事療法が基本ですが、重度の場合はサプリメントによる亜鉛補充が必要です。亜鉛を多く含む食品として、肉類、魚介類、ナッツ類などがあり、これらを積極的に摂取するよう心がけるべきです。

食事からの亜鉛摂取

特に肉類や魚介類、乳製品など亜鉛が豊富な食品を意識して摂ることで、欠乏症の予防が期待できますが、症状が現れた場合には早急に医療機関での診断を受けることが重要です。血清亜鉛値に基づき、亜鉛サプリメントの処方が行われることも多く、適切な治療を受けて早期に改善を図ることが求められます。

まとめ

亜鉛欠乏症は、現代の食生活において見過ごされがちな栄養障害ですが、さまざまな身体的症状を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。体調に無理を感じたら、早めに医療機関を受診し、必要に応じて調査を行うことが大切です。

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