交響曲 (パデレフスキ)

イグナツィ・ヤン・パデレフスキ作曲の交響曲ロ短調作品24は、『ポーランド』（Polonia）の表題を持つ。1903年から1908年にかけて作曲され、1909年に公開初演を迎えた。ピアニストとして世界的に著名であったパデレフスキが、後に政治家へと転身する直前に完成させた、作曲活動における重要な作品の一つである。

作曲は1903年、スイスのモルジュで着想され、1908年に完成。初演に先立ち、1908年12月26日にローザンヌで私的な演奏が行われた。公開初演は翌1909年2月12日、アメリカ合衆国ボストンにおいてマックス・フィードラー指揮、ボストン交響楽団によって行われた。その後、パリやロンドンでも再演され、祖国ポーランドでの初演は1911年1月、ヘンリク・オピエニスキ指揮によりショパン生誕100周年記念演奏会で行われた。米国でも複数都市で演奏されたが、その後は演奏機会が稀であった。2011年には、パデレフスキ没後70周年記念として大統領後援のもとワルシャワで再演されるなど、近年再評価が進められている。

『ポーランド』という表題は、画家アルトゥル・グロットゲルが1863年に発表した同名の風刺画集に影響されたとされる。この画集は、ロシア支配下のポーランドの現実と、1月蜂起（1863-1865）に触発された闘争を描写しており、パデレフスキの父もこの蜂起に関与した。パデレフスキは当初、蜂起40周年記念に捧げる意図もあったが、総譜に特定の献辞は記されていない。

本作は全3楽章構成で、当初はスケルツォを含む4楽章構想だった。約75分と長大で、特に終楽章を中心に実演でカットされることが多い。標題音楽的に解釈され、各楽章は以下のように関連付けられるとされる。

第1楽章：アダージョ・マエストーソ - アレグロ・ヴィヴァーチェ（ロ短調、約30分）- かつてのポーランドの栄光
第2楽章：アンダンテ・コン・モート（変ロ長調、約17分）- 1907年頃のポーランドの現状（政治的主体性の喪失）
* 第3楽章：ヴィヴァーチェ（ロ短調からロ長調へ、約27分）- 将来訪れるであろう、ポーランドの幸福な未来

音楽的特徴は瑞々しくロマンティックな様式であり、リスト、チャイコフスキー、シベリウス、ラフマニノフ、マーラー、スクリャービンなど同時代作曲家との比較や、ショスタコーヴィチを先駆けるとの評もある。しかし、形式に囚われず、主題が拡大しすぎる傾向から批評を受けることもあった。終楽章ではポーランド国歌「ドンブロフスキのマズルカ」が、原曲の3拍子ではなく2拍子に編曲されて引用される点が特徴的である。

楽器編成は非常に大規模で、ピッコロ、フルート3、オーボエ2、イングリッシュホルン1、クラリネット2、バスクラリネット1、ファゴット2、コントラファゴート1、ホルン4、トランペット4、トロンボーン3、テューバ1、サリュソフォーン3、ティンパニを含む打楽器群、ハープ、オルガン、弦五部を含む。特にサリュソフォーンが3本用いられている点は注目に値する。

関連事項として、イギリスの作曲家エドワード・エルガーは、1915年に作曲した交響的前奏曲「ポローニア」作品76をパデレフスキに献呈している。

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