交響曲第2番 (ヴィラ＝ロボス)

交響曲第2番「昇天」（Ascensão）

エイトル・ヴィラ＝ロボスが作曲した交響曲第2番は、「昇天」（Ascensão）の副題を持つ作品です。

この交響曲は、リオデジャネイロで1917年に作曲が開始されました。しかし、その完成には長い年月が費やされ、全曲が完成したのは1943年の末、あるいは1944年の初頭になってからでした。四半世紀以上にわたる作曲期間を経て、ようやく日の目を見た作品と言えます。

世界初演は、完成間もない1944年5月6日に、リオデジャネイロで行われました。作曲者ヴィラ＝ロボス自身が指揮棒を取り、Orquestra Sinfônica da Rádio Nacionalの演奏によって、ラジオ放送の形で披露されました。北アメリカでの初演は、それから半年ほど経過した同年11月26日に、ロサンゼルスのフィルハーモニック講堂にて行われています。こちらも作曲者自身の指揮のもと、ジャンセン交響楽団が演奏しました。

この交響曲第2番は、ヴィラ＝ロボスが敬愛したヴァンサン・ダンディの音楽様式に影響を受けて作曲されたとされる5つの交響曲のうち、2番目に位置する作品です。

楽器編成

楽曲は比較的大きな編成のオーケストラのために書かれています。使用される楽器は以下の通りです。

ピッコロ2、フルート2、オーボエ2、コーラングレ、クラリネット2、バスクラリネット、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット4、トロンボーン4、チューバ、ティンパニ、タムタム、バスドラム、シンバル、スネアドラム、タンバリン、チェレスタ、ハープ2、弦五部。

金管楽器や打楽器群が厚く、ハープも2台使用される点が特徴的です。

楽曲構成と内容

全4楽章で構成され、全体の演奏時間は約50分に及びます。この演奏時間は、ヴィラ＝ロボスの数ある交響曲の中でも、第10番に次ぐ長さとなっています。

1. Allegro non troppo
2. Allegretto scherzando
3. Andante moderato
4. Allegro

この交響曲の重要な特徴として、第1楽章に登場する第1主題が、楽曲全体を貫く「循環主題」として後の楽章にも繰り返し現れる点が挙げられます。この循環主題は、第2楽章の展開部で2回、第3楽章の展開部冒頭、そして終楽章の展開部あるいは経過部で、バスクラリネットやファゴット、コントラファゴットといった低音木管楽器によって奏されます。

第3楽章は緩徐楽章にあたり、単一の主題を用いたソナタ形式が採用されています。提示部から楽章全体にかけて、ロ短調からニ長調へと調性が移行していく点が印象的です。

終楽章もソナタ形式の構造を持っていますが、その調性的な関係は伝統的な規範から逸脱しています。提示部における2つの主要主題は、三全音の間隔であるホ音と変ロ音を中心として提示されます。これが再現部では短三度上方へ移調され、ト音と変二音として現れます。この関係性は全体として減七の和音を想起させる響きを生み出しており、最後に半音上昇してニ音で力強く楽曲を締めくくります。この終楽章では、自身の持つ主題や循環主題に加え、先行するすべての楽章から動機素材が回想される場面も見られ、作品全体の統一性が図られています。

この交響曲は、ダンディ譲りの構築的な形式感と、ヴィラ＝ロボス独自の豊かな楽想、そして自由な調性感覚が融合した興味深い作品と言えるでしょう。

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