交響曲第40番 (モーツァルト)

交響曲第40番 ト短調 K. 550

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが作曲した交響曲第40番は、特に短調の作品の中で名高い曲です。この交響曲は他に二曲のト短調の短調交響曲と共に数えられるもので、そのため時に「大ト短調」と称されることがあり、もう一つの「小ト短調」である第25番と対比されることもあります。モーツァルトの交響曲のなかで短調のものはこの2曲だけで、その独特な暗さが際立っています。

この作品は1788年7月25日にウィーンで完成され、同年に作曲された第39番と第41番『ジュピター』と共に「3大交響曲」と呼ばれ、モーツァルトの重要なレパートリーとして知られています。ただし、これら三曲の作曲目的や初演の正確な日時は不明で、モーツァルトは生存中にこれらの音楽を実際に聴いたことがないと考えられています。

初演について

交響曲第40番が初めて演奏された記録は残っていませんが、生前には演奏されていたことが推測されています。これは、モーツァルトが木管楽器のパートを含む改訂版を作成したことからも明らかです。さらに、第2楽章の一部に差し替え用の楽譜が存在しており、これは1789年の演奏会に向けて用意されたと考えられています。また彼はベルリンやフランクフルトの旅行の際に、この交響曲の楽譜を携えていたことが知られています。

ウィーンの音楽家協会で1791年4月に、モーツァルトの大交響曲が演奏されたという記録があり、これが本作を指している可能性が高いです。

楽器編成

この交響曲の楽器編成は以下の通りです。

• - フルート: 1
• - オーボエ: 2
• - ファゴット: 2
• - ホルン: 2（変ロ管、ト管、変ホ管）
• - 弦楽器: ヴァイオリン2部、ヴィオラ、バス（チェロ、コントラバス）

なお、初稿と改訂版があり、改訂版ではクラリネットが追加されています。演奏の際にはどちらの版も選ばれますが、最近ではクラリネットが加えられた改訂版が好まれる傾向にあります。また、ティンパニやトランペットは使用されていません。

曲の構成

この交響曲は、4つの楽章から構成されています。

第1楽章: モルト・アレグロ

ト短調、2分の2拍子の形式で始まり、ヴィオラによる8分音符の和音の刻みが特徴的です。次に続く第1主題は、激しさを感じさせる躍動的なものです。

第2楽章: アンダンテ

変ホ長調、8分の6拍子で、平穏さとメロディの美しさが際立っています。主題がヴィオラからヴァイオリンへと重なりながら展開します。

第3楽章: メヌエット (アレグレット) - トリオ

ト短調からト長調への移行がスムーズで、伝統的なメヌエットの形を取りつつも変拍子的な要素を融合させています。トリオ部分はホルンの響きが美しい。

第4楽章: フィナーレ：アレグロ・アッサイ

再びト短調で、激しい主題が印象的で、強烈な経過部を経て静かな第2主題が登場します。展開部では主題の動機が伸びやかに展開されます。

その他の情報

モーツァルトの自筆譜は音楽家ヨハネス・ブラームスが所有していたことが知られており、今はウィーン楽友協会に保管されています。また、この交響曲は後のさまざまなメディアでも使われています。例えば、コルカタのハウラー駅や陸運支局の自動車検査ラインで曲が流されることがあるなど、身近なところで耳にすることができます。多くのアーティストもこの作品を編曲・アレンジしており、その人気は途切れることがありません。特に、モーツァルトの第3楽章をピアノ独奏用に編曲した作品などは音楽ファンに愛されています。

このように、交響曲第40番ト短調K.550はモーツァルトの傑作の一つとして知られ、彼の他の作品と同様に、時代を超えて多くの人々を魅了し続けています。

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